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「へぇ…… その人の事すごく大事にしてるんですね」
「まぁね。すげぇ可愛くて急いで帰りたいぐらいには」
「なんか妬けるなぁ……」
もうやめてほしい。
恥ずかしすぎて、嬉しすぎて、きっと真っ赤だから。
「獅子原先生って意外と一途なんですね」
「意外って失礼だな。ほら、ちゃんと答えたんだからもういいだろ」
リカちゃんのウザったそうな声が、さっきよりハッキリと聞こえる。
きっと2人はもう車の近くにいるんだろう。
チラッと覗けば、運転席のドアにもたれたリカちゃんが見えた。
「まぁ…今日は諦めますよ」
「気をつけて帰れよ。あと生徒送るとかダメだから、そこんとこ納得してくれ」
去って行く鷹野の姿が見えなくなり、俺はホッと息を吐いた。
けれど、しばらくして足音が近づいてくる。
「ウサギさん、みーつけた」
リカちゃんモードの意地悪な彼が笑っていた。
「ちゃんと隠れてたんだ? 偉いな」
トランクに腕をついて俺を覗き込む。
「はっ、お前めっちゃ顔赤いんだけど。盗み聞きは良くねぇなぁ……」
聞かせるように言ったくせに……リカちゃんの意地悪。
あれは本心?
それとも鷹野を黙らせるための嘘?
知りたい……けど、聞くのは怖い。
「こんなとこで話してる方が悪いだろ」
「確かに。で、いつまでそうしてんの?」
ほれ、と伸ばされたリカちゃんの手を取る。外にいた俺よりも冷たい手。
強く引かれる力に身を任せれば、自然とその胸の中に飛び込むように抱きしめられた。
「身体冷えてる。待たせて悪かったな」
ここが学校の敷地だとか、もしかしたら鷹野がまだいるかも……とか色々あるのに。
それなのに、その背に回してしまう。
ゆっくりと上げた視線の先にあるリカちゃんの唇から目が離せない。
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