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「お前は、アイツの事故の事は知ってるんだよな?」
「よそ見運転の車に轢かれたって聞いた」
「それだけ?」
探るようなリカちゃんの視線が向けられる。
「それだけって…他にも何かあんの?」
「いや………例えば轢いたヤツの話とか」
「知らない。聞きたくもない」
俺の大切な人を殺したヤツの事なんか知りたくもない。
知っても許せないから。
「そうか」
それ以上リカちゃんは何も言わなくなってしまう。
「なぁ、なんで星兄ちゃんと友達だったって黙ってたんだよ?」
それが1番疑問だった。
なんでリカちゃんが隠してたのか。
隠さないとダメな理由って何だったのか。
トン、と灰を捨てまた咥える。
今度は少し長めに吸い込んで吐き出した。
「言ったらお前が星一の事思い出して辛くなると思ったから」
「え?」
「もう8年も前の話だから。例え俺とアイツが友達だったとしてもお前にはどうでもいいだろ」
「どうでもよくなんかっ……」
どうでもよくなんか、ない! そう言おうとした。
「お前が知りたいのは星一の友達じゃなくて、1人の男としての俺だろ?」
その通りだ。
俺はリカちゃんを知りたい。
獅子原先生としてのリカちゃんも含めて、その全てを知りたい。
「知りたいなら強請ってみろよ」
誘うようなセリフ。
「リカちゃんが、欲しい……」
答えたのが先か。
それとも
「あッ…………!」
噛みつかれたのが先か。
それは誰にもわからない。
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