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「ここ、ウチ」
「……マジかよ。ちゃんとした格好して来りゃ良かった。
で?親御さんは?」
獅子原が玄関から中を覗こうと顔を傾ける。
俺はそれを遮るように身体を動かした。
「親なんていない」
「んじゃ何時に帰る?」
「いない」
数秒黙った獅子原は、ため息をつき「あのねぇ。」と続ける。
「俺、お前の担任なの。お前の家族構成ぐらい知ってるっつーの。いいから出せよ」
その言い方…マジでガラ悪い。
拓海が言ってた噂もまんざらじゃねぇかもしれない。
「だから…いねぇって言ってんだろ。お前はヤクザか。」
「いや、そういうのもういいから。別に告げ口とかしないから安心しろって」
俺が親を出したくないのだと勘違いしてる獅子原に、わかりやすく状況を告げる。
「父親と兄貴は本宅にいる」
「んじゃ母親がいんだろ」
母親?何それ。
「母親は…
あの人は俺がガキの頃出て行って戻って来ない。
出て行ったか行ってないかなんて聞かれてねぇから言わなかった。だからここには俺しかいねぇ」
そういう事。
俺は母親に捨てられ、父親にも見放されたのだ。
俺は『1人』なんだ。
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