アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
10
-
今度は誰が来たかわかっている。だから俺は無視を決め込むことにした。
鍵がかかってんだから俺が開けさえしなきゃアイツは入ってこれない。
何度かチャイムが鳴り、やがてそれは止まる。
「やっと諦めたか。しつこいヤツ…」
ホッと息をついて何か飲むかと立ち上がった時だった。
「とーまーるー君。居留守使ってんのバレてるんだから早く出てこいよ」
聞こえるのは、玄関のドアを叩く音と間延びした獅子原の声。
「ここ開けるまで続けるけどー?」
宣言通り何度もドンドンと扉は叩かれ、その度に獅子原が俺を呼ぶ。
そこには遠慮なんてあったもんじゃない。
他の住人に聞こえるのも気にしないその行動。
マジで強引な男だ。
足音を殺し、玄関扉の前に立つ。
覗き穴から見た先には澄ました顔で立つ獅子原がいる。
「なぁ。早く開けてくんねぇ?そろそろ苦情くると思うんだけど」
それならやめればいいのに。
けれど獅子原はやめるどころか口元を歪めて笑う。
その目は真っすぐに覗き穴を捕らえていた。
……まるで俺が立っているのを知っているかのように。
その鋭い視線に俺は思わず後ずさってしまう。
獅子原がゆっくりと口を開く。
「なかなか強情なヤツだね、お前。そっちがその気なら俺にも考えがあるんだけど」
口元の笑みが更に深くなる。すごく嫌な予感がした。
そしてそれは的中する。
「雀々丘高校1年2組、出席番号18番の兎丸慧君!いるのはわかってるんだから開けなさい!
前回のテストで全教科赤点だった雀々丘高校1年2組、出席番号18番の兎…「お前いい加減にしろよ!人の個人情報を大声で叫んでんじゃねぇ?」」
思わず開けてしまった扉。
その前に立つ獅子原が勝ち誇った顔で俺を見下ろす。
その顔、醸し出す空気はまさに俺様。
「だからナニするかわかんねぇって言っただろ?」
学校の噂もバカにならないと思った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
10 / 1234