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「ねぇ。あんた何考えてんの?」
ウサギが部屋に入ったのを見届けた後、俺も自分の部屋に入れば廊下で仁王立ちしてた桃に睨みつけられる。
「…こんなとこ突っ立ってねぇでソファに座りたい」
「違うわよ!!!なんであの子の隣に住んでんのよ!」
「たまたまだって」
そう。
これは本当に偶然だった。
まさかウサギが1人で暮らしてるとは思ってなかった。
「どうすんのよ」
「どうって…どうもしねぇ」
桃は納得いかない、とばかりにまだ俺を睨んでいる。
「だいたい俺はアイツの担任の先生なんだよ。接点持つなってのも無理な話だろ」
「でも弟君は知らなかったわ。私たちと星一が知り合いだなんて」
「だろうな。俺も言わなかったし」
言わなかったんじゃない。
言うつもりなんてなかった。
ウサギの…星一の家庭環境が複雑なのは知っていた。
でもまさか母親が蒸発していたとは思わなかった。
やたら弟を構う兄貴だなって思っていた。
親とソリが合わないなんてよくある話だ。
「まいったわ。あの子にバレちゃった」
「まぁな。別に隠すほどの事じゃねぇし」
「でも!」
俺と星一は高校の同級生だった。
親友だなんてクサい言葉だけど、まさしくそれだった。
よく出来る真面目な星一と俺はアンバランスだったけれど、話が合って…。
気づけばいつも一緒にいた。
そう、星一のあの事故の時も。
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