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「お前さ、兄貴の部屋って入ったことある?」
「ある……っつーか鍵持ってる」
「は?!」
今日の歩は反応が激しい。
まるで拓海みたいだ。
「え、兄貴が合鍵渡したの?あの兄貴が?」
「押し付けられたに近いけど…。それが何だよ」
「兄貴の部屋、異常に綺麗じゃねぇ?アイツちょっと潔癖なんだよ」
確かにリカちゃんは、いつもピシッとしてる。
そういや、隣に誰か座ると息が詰まるとも言っていた。
「結局さ、お前は何が言いたいんだよ」
歩の言いたいことがいまいちわからず、俺はストレートに聞いてみた。
「合鍵渡すって事は勝手に入ってもいいって事だろ。
アイツがそんなこと許すと思うか?」
「知らねぇよ。俺も渡してるし歩の考え過ぎだろ」
そんな言い方じゃ、まるで俺だけが特別みたいだ。
俺も昨日まではそう思い込んでたんだよ…。
もう変な期待なんてしたくないのに、単純な俺の胸は少しドキドキ鳴り始めていた。
「じゃあ……あれってお前の合鍵だったのか」
歩がやたらニヤニヤしながら顔を上げる。
人がドン底に落ち込んでいるのに笑うなんて友達甲斐が全くない。
そんな性悪なところも兄弟だと思う。
「兄貴のさ、キーケース。俺見ちゃったんだよ。
そしたら兄貴らしくない鍵があったんだけど、何だと思う?」
「そんなの俺が知るかよ」
「鍵に油性マジックでハートマーク書いてんの。
あんなのするの女だけだと思ってたけど、兄貴も可愛いトコあんのな」
なんか書いてるなーとは思ってたけど…。
まさか、そんなのを書いてるのは知らなかった。
「あの悪魔みたいな男をメロメロにさせるって兎丸君やるねぇ」
からかわれただけの言葉にすら、思わず顔が赤くなる。
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