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「行かないの?」
1番近くにいた桃ちゃんに声をかけると困ったように笑うだけだ。
「お前たちだけで行けよ」
その上、返事をしたのは何故かリカちゃんだった。
「リカちゃんと桃ちゃんは?」
「俺と桃は内風呂で済ますから。豊について行ってもらえ」
「え、なんで?」
なんでみんなで行かないんだろう?
「俺あんまり他人と同じ風呂入るの好きじゃねぇし。桃は…こういうヤツだから何しでかすかわかんねぇだろ」
「こういうヤツって何よ。するとしても好みの男の裸ガン見するぐらいよ!」
「ほらな?」
あぁ…納得。
2人と別れて部屋を出る。
どこまでいっても団体行動が出来ないメンバーだなぁ…なんて、そんな呑気な事を考えていた。
あいつらが出て行った後、少しして桃が申し訳なさそうに笑う。
「…悪かったわね」
「別に。それより先に入れよ。戻ってきた時に鉢合わせたら面倒だろうが」
黙って浴室へ消える桃の後ろ姿を見て、俺はやるせない気持ちになった。
「…お前が謝ることじゃねぇだろ」
かつて自分も囚われていたように、桃にだって話したくない事の1つぐらいある。
それをとやかく言うつもりはない。
「全部自分の所為にしてんじゃねぇよ」
思わず零れた言葉は、一人きりの部屋で虚しく消えるだけだった。
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