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リカちゃんと遅めの朝食を済まし部屋に戻れば、それぞれ帰り支度をしているところだった。
忘れ物が無いかソワソワする拓海の横で、最終チェックをしてるらしい美馬さん。
なんだかお母さんと息子のようで微笑ましい。
部屋の隅で座り込む歩は、すでに準備が終わっているらしくぼんやりと空を眺めていた。
「豊。桃は?」
「売店。部屋の茶菓子が気に入ったから買って帰るって出て行ったきりだ」
俺とリカちゃんも急いで支度を済ませると、しばらくして桃ちゃんが帰ってくる。
その手にはたくさんの紙袋。
「なんだよその大荷物」
「ふふっ。欲しいのいっぱいあって買っちゃったの」
「お前それ自分で持てよ。絶対手伝わねぇからな」
両手いっぱいに荷物を持っている桃ちゃん。
どうやって鞄を持つ気なのか…。
「そんなこと言わずにお願い!ね?」
「嫌に決まってんだろ」
「リカのケチ!!」
そもそも、この男が他人の荷物なんて持つわけない。
リカちゃんに一蹴された桃ちゃんの視線が美馬さんへ向く。
けれど聞くのも無駄だと知っているからか、俺に向いて…やっぱり諦めたようにそらした。
きっと俺に言ったところで邪魔が入るのがオチだとわかっているからだろう。
この後に見るのは…歩のはずだ。
でもって歩は「いいっすよ」と言うに違いない。
けれど実際は違った。
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