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「ちょっと!!人が、」
「誰か来たら離しますから。それよりも大好きな花、ちゃんと見なくていいんすか?」
今までになく近くで感じる声に、なんとも言えない気持ちになる。
高校生に振り回されてる自分の姿なんて想像したこともなかった。
「紫陽花って毒あるんですね。
綺麗なのに毒があるってギャップも似てる」
「………やけに詳しいわね」
「ここに書いてますから」
そうやって指差すのは説明書きのプレート。
「あ、そうだったわね」
「俺はあいつと違って、そういうの知らないですよ」
歩ちゃんの言う『あいつ』が誰なのかはすぐにわかった。確かに、あいつなら知っててもおかしくない。
「───っ…!!」
ハッとした。
今朝まで歩ちゃんのことを友人の弟…と認識していたのに。
この数時間でそんなことは抜け、1人の男の子として見てしまっていた。
歩ちゃんのペースに巻き込まれ飲み込まれそうになっていた。
……これは気をしっかり持たないと。
目の前にいるのは思っている以上に強敵のようだ。
入り口の自動ドアが開く音が聞こえ、歩ちゃんが離れていく。それに安堵している自分がいる。
「そろそろ進まねぇと日が暮れる。もしかして今日はお泊りコースの予定?」
「なわけないでしょ!!」
「なんだ残念」
すごく悔しくて…何がって振り回されてる自分と、それを嫌じゃないと思ってしまってる自分が。
意地になって足早に歩ちゃんを引き離して歩く。
「置いていかないでくださいよー。」
「うっさいわね!そっちが早く歩けばいいでしょ?!」
「……可愛くねぇな」
「大きなお世話よ!」
後ろでクスクス笑いながらも付いてくる歩ちゃんを振り返り睨む。
すると楽しそうに笑った彼は、その笑みを意地悪に歪めた。
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