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昼休み。
遠慮がちにノックされた扉から現れたのは、それはそれは凶悪な顔をした弟だった。
「どうぞ……ってお前か」
「あからさまに残念がんじゃねぇよドスケベ」
現れて早々に生意気な歩は当たり前のように鍵を締め、椅子にふんぞり返る。
そしてこれまた当たり前のようにポケットからタバコを取り出した。
「お前な…俺も一応は教師なんだけど」
「アァ?誰かさんの鎖骨に濃いキスマーク見えてましたよ先生。注意した方がいいんじゃねぇの」
「まぁそれぐらいなら」
「あとは首の歯型もな。お前らSMプレイまでヤッてんのかよ」
なにやら最上級に機嫌の悪い歩が突っかかってきて、その理由を知っている俺は苦笑するしかない。
「なに笑ってんだよ。
どうせわかってて楽しんでんだろ…マジで性格悪い」
「はいはい。八つ当たりはやめろよ 」
八つ当たり、のフレーズにわかりやすいほど反応した歩が舌を打ちつつ俺を睨んだ。
歩が俺にこんな風に怒りを露わにするのは珍しい。
「…………なんて言ってたんだよ」
紫煙を吐き出しながら言うその表情は、不貞腐れた子供のようだ。
普段は飄々としている歩をこんな姿にさせるのが、まさかあの悪友だとは…。
恋っていうのは恐ろしい。
あのオカマはまだしぶとく「歩ちゃんのは恋なんかじゃないわ!」とか言ってたけどな。
「なんだよ。なにか言えよ」
「いや……」
まぁ…こんだけ機嫌が悪くなるのも仕方ない、とは思うがなかなかに生意気だ。
「デートの途中で逃げられるなんてバカじゃねぇの…とは8割程度にしか思ってねぇよ」
堪えきれなかった笑いが漏れ、不機嫌な弟は更に眉間の皺を深めて俺を睨んだ。
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