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「何言ってるの」
「竹虎さん、いつも長袖ですよね」
「ーっ!!」
そんな、まさか。
どうしてそれを知っている?
誰が?誰が教えた?
そんなの思いつくのは1人しかいない。
「違いますよ。兄貴は関係無い」
それなら…なぜ?
「本人から直接聞きました。
それこそ聞きたくなかったことも全部」
まるで心の声が聞こえているかのように返ってくる。
そんなにも自分は顔に出ているのだろうか?
「いつの間に…」
直と歩ちゃんの接点はあたし以外に思いつかない。
けれど、あたしは絶対に2人を引き合わせたりしない。
「偶然会って。思ってたような人じゃなかったですけど…やっぱ桃さんって抱く側の人なんすね」
「それよりも、」
「聞いたつってるでしょ。もう全部知ってますよ」
「本当はあんたの口から直接聞きたかったですけどね」そう言った歩ちゃんは微かに笑う。
…どうして笑えるんだ?
わからない。わからないけれどイライラする。
まるで何とも無いことのように振る舞うその態度が。
何を悩んでるんだと言われているような気になる。
この数年、それをどれほど自分が思い悩んでいたか。
その全てが無意味だと言われているみたいだった。
「わかったような口を聞くな!!」
思わず出た言葉はとても荒々しく、静まり返った宵に木霊する。
「何も知らないくせに!関係ないくせに!!!」
あたしを見ていた瞳が細く眇められ雰囲気が悪くなった…いや、既に悪かったのかもしれない。
「わかりたいとも思わねぇよ」
いつも飄々としていて生意気で偉そうで、それでいて少し幼い。
そんな歩ちゃんが初めて…怒っているのだと知る。
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