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自分勝手に突き進んで自分よがりに振り回した。
その結果は傷を抉って拒絶されただけ。
そんな俺は…なんて子供なんだろう。
*
まんまと兄貴にしてやられた俺は、ソファーの端に座りタバコを燻らせていた。
キッチンでは料理の仕上げに勤しむ兄貴と喧嘩しながらも仲良さそうにしている慧。
美馬さんは拓海を迎えに行ってしまった。
残されたのは俺と、出来るだけこちらを見ないように離れて座っている桃さん。
俺たち2人の雰囲気は悪く、気まずさだけが募る空間。
タバコを吸っては消し、また吸ってを繰り返した肺が悲鳴を上げそうだ。
「だから手で千切れって言っただろ?普段包丁なんか使わないんだから調子のるなよ」
「だって……。リカちゃん簡単そうに切ってるから俺にも出来るかなと思ったんだよ」
「バカ。俺とお前を一緒にすんなよ。ほら見せて」
どうやら手を切ったらしい慧とそれを心配する兄貴。
「あぁ…ったく。
身体に傷付けんなっていつも言ってんだろうが」
「うっせぇな。そんなの俺の勝手だろ」
「お前の身体はもうお前だけのものじゃないから」
兄貴のその一言に思わずタバコを吸う手が止まる。
「ーっ?!ゴホゴホッ…ゲホッ!!」
あいつらは何をバカなことやってんだよ!
兄貴は真顔で言ってやがるし慧もウットリと兄貴を見上げてるし…そんなの2人で勝手にしてろよ!
そんなことを思いながらキッチンの方を睨みつける。もちろんSMバカップルはお互いに夢中でこちらには気付かない。
思わず噎せた所為で煙が変なとこに入って苦しくて何度も空咳をした。
マジでないわ…。
こっちの気なんかしらないで堂々とイチャイチャしやがって。
「大丈夫?」
ってかさ、いつまで兄貴の服着てんだよ。
早く着替えて来いよあのバカ。
「ねぇ、大丈夫なの?」
みんなが来るってわかってんのに平気でヤれる神経を疑う。 いつでもどこでも盛ってんじゃねぇよ。
兄貴だってもう27なんだから少しは落ち着いてもいい歳だろ?
言えない文句を頭の中で並べ、悶々としていた俺はかけられている声に全く気付かなかった。
「だから大丈夫なのって聞いてるでしょ?!」
「アァ?!こっちはそれどころじゃねぇんだよ!」
「なんで心配してキレられるのよ?!」
「だから心配って何が………は?心配??」
え、誰が誰を??
「…………いくらなんでも心配ぐらいするわよ」
さっきまで嫌味なほど離れて座っていた桃さんが俺のすぐ側に来ていた。
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