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「なぁリカちゃん。なんで桃ちゃんは歩に会いに来たんだろう?」
科目室を出てしばらくしてから聞いてみる。
するとリカちゃんは驚いたように俺を見た。
「え、何?」
「お前……何も気づいてなかったのか?」
何も、って何をだよ。
それがわかんねぇから聞いてんのにバカじゃねぇの。
「ハァ。マジで鈍すぎだろ……まぁこっちはそれに助かってるんだけど」
「あ?」
「こっちの話。それより1時間どうするかなー…」
腕時計で時間を確認するリカちゃんの腕を掴む。
「なに?」
「聞いてんだから答えろよ」
「だから何を?今日の晩飯なら冷やし中華がいいってお前が言ったんだろ」
「違ぇよ!桃ちゃんが来た理由に決まってんだろ!!」
リカちゃんが少し黙って笑う。爽やかな笑顔だ。
だいたいこういう時は嫌な展開に決まってる。
「教えてくださいは?」
ほらな。これはまだマシな方だ。
「教えやがれください」
「なにそれ」
「俺なりの敬語」
呆れたように俺を見たリカちゃん。
「お前は幼稚園児か」
「言ったんだから答えろよ」
「はいはい。じゃあ場所変えるかー…」
部屋を明け渡してしまった以上、俺たちはどこかで時間を潰さないといけない。
ほとんどが帰り、学校に残っているのは部活動をしてるヤツぐらいだ。
「外は暑いし……あ、あそこでいいか」
リカちゃんがついておいでと笑って先を進む。
その足が向かうのは、近づいてはいけない噂の2つ目。
「旧校舎?」
「そ。お前は入んの初めて?」
「こんなとこ誰も入らねぇよ…」
どう見ても廃れている。
少し薄暗くて人の気配なんて微塵も感じられない建物に、わざわざ近づく方がバカだ。
それなのにリカちゃんは躊躇わず中に入って行く。
「マジで入んの?」
「騙されたと思ってついて来てみ」
……お前には何度も騙されてるんだけど。
そう言えないのは、リカちゃんの顔が自信満々だから。
きっとリカちゃんしか知らない何かがあるはず。
そう思った俺は素直について行く。
……それが罠だとも知らずに。
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