アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
457
-
ずらりと並ぶ同じ制服を着た生徒の中、一瞬で見つけた。
今よりも少し幼く、けれど今と変わらない黒髪に黒い瞳。
真っすぐにこちらを見る彼は薄く笑っているのに、どこか冷たくも感じる。
俺の知らない高校生のリカちゃんだ。
同じページには桃ちゃんと美馬さんもいて、2人とも今よりだいぶ若い…っていうのは当たり前か。
それにしてもリカちゃんはマジで童顔。というより歳をとるスピードが遅いんじゃないかとも思える。
年中エロい事ばっかり考えてるからだろうか?
「んなわけあるか」
自分で自分にツッコミを入れ、もう一度本に視線を落とす。
スーツとはまた違う制服姿のリカちゃん。
もし俺が同じ学校に通ってたら…そしたら獅子原先輩とか呼んだのかな。
そんなことを考えて、でもやっぱりリカちゃんって呼ぶ気がした。
どこにいても、何をしててもリカちゃんはリカちゃんだ。
写真に照準を合わせ、写メを撮って次へ捲る。
体育祭や文化祭、修学旅行……。
リカちゃんの思い出に触れた気がした。
きっと目立っていたはずなのに全然写っていないのは、わざとだろう。
パラパラと捲っていけば小さく写真に入り込んだリカちゃんを見つける。
何かの行事の写真らしい…が、そこに写るリカちゃんはさっきと別人だった。
何も見てないような冷めた目。
感情を感じない綺麗すぎる笑顔。
綺麗で、でも怖い。
まるで瞬きしている間に泡になって消えてしまいそうなほど儚い。
星兄ちゃんの事故の後だろう。
その後に写るリカちゃんはどれも同じ顔をして笑っている。
『笑っている』んだ。
笑うことが正解だと認識して、作った顔。
そして周りも気づいていない。
桃ちゃんと美馬さん以外に気づかれないぐらい完璧な笑顔だった。
この頃からリカちゃんは自分を殺していたんだ。
『いつも死にそうだった』
前に歩がリカちゃんのことをそう言っていたのを思い出した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
457 / 1234