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『聞こえなかったのか?服を脱げって言ってんだよ』
「聞こえた…けど」
『それなら早くしろよ』
俺の頭に浮かぶのは「なんで?」だ。
なんでこの場で、しかもこの状況で脱ぐ必要がある?
「なぁ」
『なに』
「なんか……聞こえんだけど」
微かに聞こえる音はなんとなく馴染みのある音。
いつもよりはるかに小さいけれど、それでも確かに聞こえる。
「もしかして脱いでる?」
俺の予想が正しければそれはベルトのバックルを外す金属音だ。
こんな時間にまだ部屋着じゃないってことは、リカちゃんは手が空いてすぐに連絡してくれたらしい。
ただ、今それは関係ない。
なぜ脱がなければいけないのか。
なぜリカちゃんも脱いでいるのか。
『脱がなきゃ出来ないだろ』
「だから何を?」
そして今から何を始めようとしているのか。
『離れてんだからこうするしかねぇんだよ』
「いや、さ。だから何をするって?」
『テレフォンセックスに決まってんだろ。
俺を感じたいんだろ?イかせてやるから脱げよ』
握ってるスマホから聞こえてくる聞き慣れない言葉。
耳がそれを通し、頭で理解すると同時に恥ずかしさで一杯になる。
確かに寂しいと言ったのは俺だ。
会いたくて、声が聞きたくて。
声を聞いたらそれだけじゃ足りなくて。
だからといって、こんな展開を望んでいたんじゃない。
『ヤらないのか?』
「ヤるわけねぇだろ!!!」
恒兄ちゃんが帰ってきてるかどうかは知らないけど、久しぶりに戻った実家でそんな事できるわけないのに。
それなのに恥というものを知らないリカちゃんは『俺もう用意できたんだけど』と急かすような言葉をかけてくる。
『慧君がヤらないなら俺1人でイくけどいいの?』
「おまっ…お前、マジ頭おかしいって」
『おかしいかもな。お前の声聞いただけで勃起させてんだから』
リカちゃんの言った一言にゴクッと喉が鳴る。
その小さな音すら聞き逃さないリカちゃん。
『俺の指だと思えばいいんだよ。それでも嫌?』
「や、やだ」
いつもなら簡単に崩れてしまう脆い理性が、ギリギリのところでストップをかける。
『そっか……残念。じゃあ慧君が俺をイかして』
「え?!」
『慧君が勃たせたんだから責任とってイかせろよ』
「無理!!!」
絶対…絶対に。
電話の向こうで笑ってると思う。
『出来るって。お前の先生は誰だと思ってんだよ』
そんな自信はいらない。
『慧君の可愛い声で俺を気持ちよくさせて?』
寂しくて会いたくて仕方なかったはずの気持ちが、全くの別物に変わっていく。
夏の暑さと、リカちゃんの淫らすぎる囁きによって。
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