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「ふふふ」
撮った写メを見ながら拓海が笑う。いつもの笑顔じゃなくニヤニヤと誰かさんみたいな顔で。
「慧と歩だろ…絶対に売れる」
「そんなの売れねぇよ」
歩がバカにしたように言えば拓海はチッチッと指を振って言い返してきた。それはバカな拓海とは思えないセリフだった。
「2人と仲いい俺が撮った写真だぞ?意味深なこと付け加えればすぐ噂は広まるって」
俺と歩には拓海しか友達がいない。もし、その拓海が俺たちの関係を嘘でも恋人だって言ったら…
「やめろ!」
「お前はバカか?そんな事して何になんだよ」
必死に止めるのが俺で呆れるのが歩。歩はまだいい。
だって学校でどんな噂が広まろうと桃ちゃんには伝わらないんだからな。それに桃ちゃんなら冗談だってわかってくれる。
でもリカちゃんは?リカちゃんの耳に入るのは時間の問題だ。嘘だろうとリカちゃんは許してくれない。
なんか理由つけて色々ヤらされるに違いない。
それがわかってるから俺は必死に拓海を説得した。何度も消せって言って、最終的には消してくれって頼んだ。
そんな俺に拓海は今度こそニッコリ笑う。
「じゃあもうケンカしない?」
「え?」
「別にここが日本ならいいんだ。でも今は海外で修学旅行中だろ?せっかくの旅行でケンカされるの嫌なんだけど」
ケンカ……って誰と?
思い当たるのは隣に寝転ぶ金髪しかいない。
歩を見た俺に拓海が頷く。
「し、ないようにする」
「ように、じゃなくてケンカしないの」
「わかった。わかったから貸せよ」
自分で消そうとした俺に拓海が「ダメ」と一言。
「消す約束だろ!!」
「今消したらこの後ケンカするかもしれないじゃん」
「しないって言ってる!」
「ダメ。慧のキレやすさは中学の時から見てるから」
その通りだから何も言えない…けど!なんだか拓海に負けた感じがして睨みつけた。慣れてる拓海は気にせず新しいお菓子を開けて食べ始める。
「なあ、拓海って性格変わった?」
「というより本性出してきたよな」
背中を向けてコソコソと話す俺たちの後ろで噂の拓海が大きなクシャミを連発した。
「もう!誰だよ俺の噂してるヤツ!!!」
それはきっと目の前の俺たち2人だ。
「あれか?モテ期か??俺もしかしてモテ期突入?!」
ソワソワしだし、なぜかスマホの画面で髪型チェックを始める。
「うん!今日もバッチリ立ってる!!!」
確かに綺麗に立たせてあるけれど、さっきのクシャミで飛んだお菓子のカスが付いてる。
「やっぱりバカだな」
「うん、拓海の中には白たっくんと黒たっくんがいるのかも」
俺の言葉に歩がマジな顔して頷く。
「ありえる。アイツ実は腹黒だろうから」
「性悪な金髪と腹黒なチビ……」
そんな腹黒チビは来てもいないモテ期に鼻歌なんか歌いながらご機嫌みたいだ。
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