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クラス単位で晩飯を食って部屋のシャワーで入浴を済ます。レストランで見かけたリカちゃんは現地の店員と話したり、他のヤツの通訳をしてたりと少し忙しそうだった。
もちろん普段は学校で話しかけない俺が近寄るわけにもいかず、少し離れたテーブルに歩たちと座った。
昼の続きが気になって仕方ない。あのブレスレットをいつ貰えるのか、アレの意味はなんなのか…。
爺さんはリカちゃんから直接聞けって言ったけど、本当に教えてくれるんだろうか。
また秘密だって言われそうな気もする。
「慧。なんか拓海が散歩行こうって言ってるけどお前どうする?」
「散歩ってあと1時間で点呼だろ」
もう少ししたら部屋にいるかチェックしに先生がやって来る。
それがリカちゃんなのか、そうじゃないのかはわからない。けど、たとえリカちゃんだったとしてもその時に貰えるとは思えない。
「点呼の前に戻れば大丈夫じゃねぇかな」
「ってか歩マジで行くのか?お前そういうの嫌いだろ」
俺の知ってるヤツの中で1番面倒くさがりな歩。コイツが自分から進んで外に出るなんてありえない。いつもなら何度頼んでも絶対に頷かないはずだ。
「俺だって初めての場所だからそんな気にもなる」
そう言ってベッドに置きっぱなしだったスマホを手に取る。普段ほとんど触らない、むしろ持ってる意味があんのか?ってぐらい放置しているソレ。
わざわざ持って行くその理由は1人しかいない。
「お前、桃ちゃんに電話するんだろ」
「は?」
「だって俺たちと一緒ならお前スマホ持ち歩く意味ないじゃん」
「アホか。お前海外から日本に電話したらどんだけ請求くると思ってんだよ。俺がそんな無駄なことするわけねぇだろ」
どうやら俺の予想は外れていたらしく、呆れた目で見てくる。
「で、行くのか行かねぇのかどっちだよ」
「んじゃ行く」
どうせ部屋に1人でいてもすることは無い。
悶々と考えてしまうだけだろうから俺も歩と一緒に拓海の元へ向かう。
既にロビーで待っていた拓海が俺たちを見つけ走り寄ってきた。
「慧!よかった来てくれて」
ニコニコ笑いながら俺の腕を引っ張り、ホテルの外へと連れ出す。一緒に来た歩はなぜかその場に放置だ。
「ちょっ、歩は?」
「歩?歩には用事あるから無理って断られたよ」
「用事?でもアイツ外に出る準備して行く気満々だったけど」
少し離れて立っていた歩は俺が引っ張られていく方とは違う方向へ1人歩いて行く。その先にあるのは中庭だけ。
なんでそっちに行くのか、なんで1人で行くのかわからない俺に拓海が教えてくれた。
「実はさ、歩ってば桃ちゃんに頼まれてんだよ」
「頼まれた?ってあのクマのぬいぐるみの話だろ?」
「じゃなくて、ここのホテルにすげぇ有名な花があるらしくてさ。桃ちゃんって花好きじゃん?それの写真撮って来てって言われてんの」
あの歩が花…バイトとタバコ、ラーメン以外には興味の無い牛島君が花の写真を撮ってる姿なんて絶対に誰も想像しないはず。
「歩さぁ、文句ばっか言ってるクセにすげぇ桃ちゃんのこと好きだよな」
「……お前はそれでいいのかよ」
歩が桃ちゃんと付き合い始めて寂しがってた拓海。もう平気なのかと聞くと、少し考えてニッと笑う。
「うん。俺、他に放っとけない人いるから」
「は?え、誰それ」
「まだ秘密。あ、でも別に好きとかじゃねぇからな!なーんか放っとけねぇだけ」
すっげぇ笑顔で爆弾発言をした拓海とホテルの周りを散歩して戻ってくる。もうすぐ点呼が始まるから人が少ない。
でも、きっと理由はそれだけじゃない。人がいっぱいいても俺は絶対に見つけたと思う。
「拓海!悪いけど歩に後は頼んだって伝えといて」
「え!慧?!」
拓海に伝言を残し、俺はチラッと見えた黒い人影を追いかけた。
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