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「相変わらず興味ないことには本当に無関心だな。どう見ても由良のそれは好きな子に構ってもらいたいだけだろう」
リカちゃんのお父さんが言ったことに俺も同意見だ。てっきり気づいてると思ったのに、本当に今知ったらしく、リカちゃんは瞬きを繰り返す。
「いや…だって昔からこいつ俺にだけ当たり強かったし」
「お前は誰に対しても当たり障りない事しか言わないからな。他と同じことしても見てもらえないが故の行動、いわゆるツンデレってやつじゃないのか」
お父さんの言葉にリカちゃんが俺を見る。なんでそこで俺を見るんだと、冷めた目で睨み返した。
服を掴む手を離そうと、リカちゃんが由良さんに手をかける。
「それならそうと先に言えよ。わかりにくいやつ…」
ため息をついたリカちゃんに由良さんが言い返す。
「言ったらお前は俺に手出さへんやろ!理佳は抱いてはくれるけど好きにはなってくれへんって俺知ってるんやからな!!」
由良さんが言ったことに俺とお父さんの口から揃って「最低だな」って出た。
殴って怒鳴りたい気持ちを人前だからと抑えて俺は心の中のリカちゃんを殴る。何発か殴ったのにそれは収まらず、抑えることを諦めた。
イライラしてる俺に気づいたのか、リカちゃんのお父さんが背中を摩ってくれる。
目の前ではまだ由良さんがリカちゃんに迫っていた。
「理佳は割り切った関係って言わな俺を相手せぇへんやろ」
「当たり前だろ。身内となんて面倒くさい以外のなんでもない」
「言ってもあかん、言わんくてもあかん…じゃあ俺はどうしたら良かったん?!」
気持ちを伝えたら相手してもらえない、伝えなかったらわかってもらえない。どっちを選んでも叶わない由良さんの恋。自分に向くことのない気持ちを何年も引きずっていたのかと思うと可哀想だ。
けれど、可哀想だと思ってしまった俺は性格が悪い。
今この時、俺は由良さんを下に見ていた。
リカちゃんが求めてるのは俺なんだって思って、あんたじゃないんだよって言ってやりたくて仕方ない。そしてそれを我慢する俺じゃない。
リカちゃん達に向かって1歩踏み出す。2歩目の足を出したところで横から服を引っ張られた。
「ここは黙っていた方が天使ちゃんの嬉しい結果になると思うよ」
そう言って俺に黙れと、行くなと言ってくるお父さん。勢いを無くした俺はおとなしく戻る。その代わりに今度はリカちゃん本人が動いた。
「どうしたら良かったって聞かれてもなぁ…どうされても俺の気持ちは変わらない。今さら好きだったとか言われても何も思わないんだけど」
やっと由良さんを引き剥がしたリカちゃんが淡々と続ける。
「もちろん応えられないし嬉しいとも思えない。それだけのことをお前は俺に言ってきたと思うけど」
「そうするしか方法がなかったんや!」
「それはお前の都合だろ。それに振り回される周りのことも考えて行動できないのかよ。他人を巻き込んでおいて仕方ないだなんて笑わせんな」
リカちゃんに引き離された両手を由良さんが見つめる。ぎゅっと拳を握って、そのまま下に降ろした。
「好き…やったのに。俺は理佳がいいのに」
由良さんが、らしくない弱々しい声でやっと気持ちを言ってももう遅い。
「無理。何があってもお前を選ぶことはない」
返事をしたリカちゃんは、先生の時の優しさなんて欠片もない。
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