アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
738
-
「戻ったらやるから!!だから、な?!」
「嫌だ。今すぐ欲しい」
「無理言うなよ!お前は子供かっ…!!」
子供みたいなワガママを言ったリカちゃんがテーブルの上のグラスに手を伸ばす。そこには俺の飲みかけていたシャンパンが半分ほど入っていて、一気にそれを口に含んだ。
「ちょっ、ん…んーっ!!」
口移しで注がれる甘くて苦い液体。2人の体温で少し温まったそれが顎を伝い流れていく。
舌の動きと広がる酒の香り。そのどちらもが一緒に襲ってきて逃げようとそむけた顔が、顎を掴まれ固定された。
「や…んっ、ぁ」
注がれるものを飲み込まなきゃ息が出来ない。でも飲み込んだら今度は舌で翻弄されて息が出来ない。
苦しくてリカちゃんの胸を叩く。力を込めたはずなのに、全然力が入らなくて弱々しく縋るだけの形になり、俺は必死に息をするタイミングを待った。
クラクラするのは酒の所為じゃなくリカちゃんの所為だ。
訪れそうにない終わりに、俺はリカちゃんの舌に歯を立てる。ビクッと反応したリカちゃんがやっと唇を離した。
「慧君さぁ…最近荒いけどどうした?」
「ハァ……お前、殺す気か!!」
息も絶え絶えに訴えれば、俺の喉元に伝う滴を舌先で掬ったリカちゃんが鼻で笑う。
「慧君が俺のこと子供だなんて言うからお仕置き。生意気も過ぎると可愛くないからな」
「そんな理由で?!マジで死ぬかと思ったんだからな!」
「大丈夫大丈夫。その辺はちゃんと心得てるから」
「ああ、お前相当遊んでたんだもんな。節操無しのリカちゃんなら慣れてて当然ってことかよ」
得意げに言うからイラッときて、俺はリカちゃんの痛いところをついてやった。
「……今それ言う?」
「言っとくけど俺は過去のことだって割り切れるほどいい子じゃねぇから。お前の酒癖の悪さと手の早さは厳しくいくから覚悟してろ」
俺から身体を離したリカちゃんが座り直して足を組む。
けれど、気にしてない素振りで飲もうとしたグラスは空だ。
そのグラスをテーブルに戻したリカちゃんがシャンパンを手に取って俺を見る。
「もう1杯飲む?」
「いらねぇ」
訪れる沈黙が気まずいのはリカちゃんだけだ。今この場で俺は完全に優勢だった。
「慧君、せっかくのクリスマスだし喧嘩はやめよう?」
「帰ったらミーティングだな。お前の素行の悪さを俺が叩きなおしてやる」
「素行の悪さでいったらお前も大概だけ…冗談だって。ちゃんと話なら聞くから今日ぐらいは仲良く過ごそう」
俺の身体に頭をぐりぐりと押し付け甘えてくるリカちゃん。そんなことされても俺はごまかされない…って思っていたのに。
「あー……この感じが落ち着く」
そうやって安心しきった顔されると何も言えなくなる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
738 / 1234