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結婚までの日々 22
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俺はベッドの横に腰掛け、本の続き読んだ。
またまた本に集中していたところに、ドアをノックする音が響いた。
…来た。
「ルナ王子、私だ。…入ってもよいか?」
「あ、はい。…どうぞ」
俺の返事から数秒ほど間を空けて、レノン王子が寝室に入ってきた。
「失礼する」
俺は本を近くの棚の上に置き、立ち上がってレノン王子を出迎えた。
レノン王子は、どこか戸惑っているような雰囲気だ。
「その…昨日は本当にすまなかった」
レノン王子が寝室に入るなりいきなり謝ってきたので、俺は少し焦った。
「いえ! 謝るべきなのは私の方です! 本当に、申し訳ございませんでした!」
俺が頭を下げると、レノン王子が慌てて俺に顔を上げるよう促した。
「いや、悪いのは私なのだから、あなたが頭を下げる必要はない!」
「でも…」
レノン王子は本気で俺のこと好きなんだろ?
だったら、昨日傷付いたのは俺よりもレノン王子の方なんじゃないのか?
レノン王子が、少しだけ俺に近づいた。
「あなたは何も悪くない。…まあ確かに、あの不意打ちのキスは私にとっては毒であったが、理性を保てなかった私に非があるのだが…納得していない、といった顔だな」
レノン王子は俺の顔を見ると、そう言い当てた。
俺から見たレノン王子の顔は、どこか悲しそうな、淋しそうな顔だった。
「もうこの話はやめよう。…今日はルナ王子と話したいと思って来たのだが、どうかな? もちろん、手は出さないと約束するし、理性だって保ってみせる」
「もちろんです。…俺も、レノン王子と話がしたいです」
レノン王子は俺の承諾を聞くと、嬉しそうに微笑んだ。
「私は普段のルナ王子も好きだが、素のルナ王子の方がいいと思う」
一人称を"俺"に変えた俺に、レノン王子はそう言った。
俺は、レノン王子にできるだけ素で接しようと思った。
…その方が、レノン王子が喜ぶと思ったから。
「さあ、ルナ王子はベッドに入って。体が冷えてしまっては大変だ」
そう促すレノン王子に、俺は素直に従った。
レノン王子はベッドの横の椅子に腰をかけた。
それから、俺とレノン王子は色々な話をした。
アストカルのこと。
ユストリアのこと。
好きな食べ物。
好きな色。
好きな言葉。
俺はレノン王子のことを、レノン王子は俺のことを、少しずつ、知っていった。
「そろそろ、休む時間だな」
「え?」
時計を見ると、23時55分だった。
そういえば、少し眠たい気もする。
思わず、あくびをしてしまう。
「…すみません」
「いや、構わん。…あくびをしているあなたも可愛いから…」
「…俺は男です。可愛いだなんて言わないでください!」
「…すまん」
レノン王子は、シュン…としてしまった。
ああああああ! またやってしまった!
「…レノン王子。俺、もう寝ますね」
「ああ。私も部屋に戻ろう」
そう言って、去ろうとするレノン王子の服の裾を引っ張った。
「…どうかしたのか?」
「………て、知ってるじゃないですか…」
「すまない。もう一度言ってくれないか? 上手く聞き取れなかった」
そうだろうな。俺は恥ずかしいことを言おうとして、声が小さくなっているから。
…でも、しっかり、言わなきゃ。
「レノン王子、キスなら許容範囲内だって、知ってるじゃないですか…」
今度ははっきり聞こえたのだろう。
レノン王子はしばらく固まっていた。
あんまり長い時間固まっていたので、俺はそっとレノン王子を見上げた。
レノン王子は、真っ赤な顔で俺を見つめていた。
「あ、あの…?」
俺はそれに耐え切れず、レノン王子に話しかけた。
すると、レノン王子は優しく俺の頬に手を添えた。
「…いいのか? キスをしても」
ドキ。
俺の胸がなった。
俺は急に、恥ずかしさがどんどん増していくのを感じた。
俺はレノン王子から目をそらし、俯いたまま首を縦に振った。
レノン王子が、俺に顔を近づけた。
俺は、少しだけ顔を上げた。
俺の唇に、レノン王子の唇が重なった。
…あったかい。
俺は無意識のうちに、レノン王子の肩に手を置いていた。
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