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「あっ……」
「ここ、くすぐったい?」
丁寧に首を拭ったタオルが胸の辺りへと達した時、くすぐったさに体を捩れば、愉しそうに笑った玲が、もう片方の掌を伸ばして遥人の顎を掴み上げた。
「泣きそうな顔してる……たまんない」
不意に顔が近付いてきたから危険を感じて避けようとするが、刹那襲った強い衝撃に遥人のパニックはピークに達する。
「やめて……やめてくださいっ」
震える体と震える声。
ベッドの上へと倒された事も理解できずに暴れ出すと、
「まだ分からない?」
の声がしたあと、片腕を捻り上げられた。
「いっ!」
「ダメだよ。おとなしくしてないと、また熱が上がるだろ」
心配そうな声とは裏腹にギリギリと腕を捻りあげられ、あまりの痛みに悲鳴をあげると、少しだけ力が緩められる。
「遥人のお爺さまの了承は得てる。ルームシェアしたいってお願いしたら、仲良くしてやってくださいだってさ。なんなら自分で聞いてみる?」
「……そんな、どうして?」
「俺、興味を持ったらとことん調べないと気が済まないんだよね」
喘ぐように質問をすると、今度もきちんと返事が来るが、それは遥人の予想していたどの答えより酷なものだった。
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