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「遥人のお爺さん、変わってるよね。普通、いくら戸籍上だけとはいえ孫のあんな写真見せられたら、金を払って握りつぶすか俺を訴えるかすると思うんだけど、悪趣味だって笑われたよ」
回想に耽っていると、不意に聞こえてくる玲の声。
なんの写真か想像がつくから、途端に息が苦しくなった。
祖父という人間が、そういう人だと分かっていても、悲しい気持ちに包まれる。
『離婚だけでも戸籍に傷が付く。なのに、あの女は半年もしないうちに他の男の子供を産んだ。知った時は親子共々葬ってやろうかとも思ったが……』
二人きりの応接室で、皮肉混じりの声を聞きながら、直立不動で立っているのが遥人には精一杯だった。
まさか、そんな展開になるなんてことは想像すらもできなかったから、激しく動揺するばかりで、まともに思考が働かない。
なにせ、立派な邸宅を目にした時点で、かなり怖じ気づいていたのだ。
戸籍上の父親が、様々な事業を展開している御園グループの跡取りというのは、教師からの情報で既に知っていたが、血縁関係が無いというのは初めて知った事実だった。
祖父の話では……父との離婚が成立したとき、既に母親は他の男との子供を宿していたらしい。
『息子には、嫡出否認の訴えを起こせと散々言ったが、アイツは頑として聞かなかった。親の言うことを聞かないからこういうことになるんだ。なあ、君もそう思わないか?』
表情にこそ出てはいないが、空気から伝わる鋭い悪意に遥人は強い目眩を覚えた。
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