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無防備
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お隣さんの家着いたら、まっすぐリビングまで通してくれた。
なんとなくモヤモヤしてた不信感は、出てきたイチゴタルトを前にするとすぐ消えた。
「はい、どうぞ。」
お隣さんが運んで来てくれたタルトに礼を言いながら手を伸ばすと、スッと躱される。
あれ……? タルト……イチゴ…
「…くれないん、スか?」
困惑しながら見上げると、そんな俺を見て愉しそうに笑みを浮かべたお隣さんが
「ごめん、冗談だよ」ってタルトをくれた。
礼を言い、飛びつきたいのを堪えて
先に食べんのは悪いからウズウズと待って。
フォークを通すと、サクッといい音がした。
「……うっま!めちゃ美味いっすね!!」
思わず思いっきり破顔したまま顔上げたら、
「…ふはっ、良かった。」
つられるようにお隣さんが笑った。
ちょ、恥ず…っ、はしゃぎすぎた。
熱い顔を隠すように俯いて、なお止まらん手でパクパクとタルトを食べ進める。
「もう一切れいる?」
「……ほしいっす。」
厚かましくも、おかわりまで貰って。
ごちそう様してからは、いろいろ話してた。
始めこそどのタイミングで帰ればええやろとか思ってたけど、お隣さんの人柄の良さもあってすぐリラックスできた。
窓から入る日光でポカポカしてて、
ぼんやりと、ふぁ…とあくびまで出る始末。
静かで心地いい穏やかな時間やった、のに。
「…無防備だよね、瑞希くん。」
「へ、」
不意にそんなことを言われ、へ?と返事しようと口を開くと同時に
口にぬるりと、熱い何かが入ってきた。
至近距離のお隣さんの目に射抜かれて、
キスされてんやと気づく。
「っ、やめ…!?」
肩を押して抵抗しようにも、
大きい手で後頭部を強く押さえられてんのと
片手をギリッと掴まれたのとで、逃げられん。
「っ…ン…、ッ、んぅ…!」
キスのリード奪われたからでも、
息継ぎが下手くそなわけでもない、
強く掴まれ痛む手首のせいでもない、
なんで?
なんで、こうなってん?
滲む涙は、懐いてた人に突然与えられた、
意味わからんショックからくるもんやった。
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