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未来
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*1年と半年後
「お前らぁ!!さっさと荷物運び出せぇ!!」
今日は卒寮式。
入寮してきた時と同じように3年間過ごした部屋から私物がどんどんと出ていく。
馬鹿な幼馴染みのように家と全く同じ配置なんてしなかった俺は全部の荷物をダンボールに詰め込んだ。
「恋夏ー。これは持って帰った方が良いかなぁ?流石に全部置いて帰るのも…」
「はぁ?知らないよ。自分で考えなよ女顔。」
「もうやだこの幼馴染み…」
そう言いながら俺の部屋へと入ってくるムッツリスケベな女顔。
「この部屋もいろいろあったねぇ。で、結局何回お仕置きされたの?」
「…答えたくないほどね。」
あははっ、そう言って笑う幼馴染みの横顔には以前のような偽りは無かった。心の底から本気で笑っていた。
本当、この部屋では、この寮では、この学園では色んなことがあった。
「…おめでと恋夏。それから…ありがとう」
「……何急にしんみりしてんだよ…ま、こっちもありがとう」
「セーンパイ!これ卒寮祝のお菓子です!先輩達…特に恋夏先輩にはたくさん迷惑かけちゃいましたね…」
馬鹿な幼馴染みの次は手のかかる馬鹿な後輩がお菓子片手にやってきた。
…お前ら自分の部屋行っとけよ。。。
「えっまじで!ありがとー祐也!!」
「いえいえ!本当迷惑ばっかかけてすいませんでした…」
「まぁ、良かったよ。本当泣きながら部屋に来た日は何事かと思ったけどね」
「ちょ、恥ずかしいから言わないでくださいって!!」
本当…沢山あった。泣きながら祐也が部屋に来て、人を殺しただのその従兄弟と恋人だのその恋人が学園辞めるだの…そして今では学園随一のオシドリカップルになって。
「まさ先輩はこの後美弥さんの舞台見に行くんですよね?恋夏先輩はどうされるんですか?」
美弥は女優としての才能も開花させ、今ではCM、映画、ドラマ、バラエティ。目にしない日はない。
そしてまさと美弥は昌が大学を卒業すれば結婚する。
俺の義弟になるってことだよね…なんかやだ。。。
「俺は…ふふっ、内緒…」
「えっ、なんでですか!教えてくださいよ!」
「祐也ちゃーん。察してやれって!この後恋夏はお楽しみなんだから、さ!」
「お楽しみ…あっ、そういうことですかぁ!」
二人してニヤニヤしながらこっちを見てくる。キモいんですけど…
まぁ、この雰囲気が心地よかったりもするんだけどね。
「りょ、りょ、寮長!!た、大変です!不審者ですぅ!!」
1年の勇次郎が泣きながら入ってくる。
なんで皆俺の部屋に集まってくるのかねぇ…
「ふ、不審者!?ちょっと勇次郎どういうこと!?」
昌がパニクりながらも聞き返す。どうせ見間違いとかでしょ?
「な、なんか『ここ懐かしいな』とか1人で呟いててっ、僕と目が合った途端に『レン呼んで』とか意味不なこと言ってきて!!蓮ってだれ!?」
これを聞けばきっと俺と祐也の代の奴らは全員誰が来たのか理解出来るだろう。
そしてまた2人がニヤニヤしながらこっちをみてくる。
「ご指名ですよ?『レン』さん?」
「僕も久しぶりに会いたいです!」
「へ、れ、レンさん?…でも寮長はレナじゃ…ぇ、えぇ?」
勇次郎に説明しようとした時また、1名部屋に邪魔なのが来た。
「もう、はやくレンが出て来ないから部屋まで着いちゃったじゃん。」
「ごめんって。てか、1年に言っても分かるわけないでしょ?どーせ、俺がレンって呼ばれるの嫌って知ってるからわざと言ったんだろうけどさ…トキ先輩?」
俺の目の前に現れたクソ腹立つ顔で笑う腹立つけどイケメンな俺の彼氏様。山下時雨。
そして俺、坂井恋夏のこと恋【レン】って呼ぶ唯一の人間。だから俺も対抗して時【トキ】って呼んでる。
「ほら、さっさと2人で帰りなよ。荷物は俺が家まで運んだげるからさ。」
「あ、俺も手伝います!」
「と、とき?れ、レン?っえ?」
「じゃあお願いしまーす!俺たちこれからデートなんで!」
「じゃあなぁー!元気でなぁー!」
そして俺達は寮の部屋をでた。ピピッとちょっとだけ小細工をして…
『お仕置きロボ。作動します。目標3名、お仕置きを開始します。』
「「「え?」」」
ふざけんなぁー!!後ろから聞こえて来たけど気のせいだよねっ!
「トキ。。。時雨先輩。」
「なぁに?恋夏。」
こういう時はちゃんと名前を呼んでくれるところが好き。
いつでも俺を優先してくれるところが好き。
俺を呼ぶ優しい声が好き。
今も俺の手を掴んで離さないその手が好き。
俺と同じ歩幅で歩いてくれる足が好き。
綺麗に割れた腹筋が好き。
全部。全部___
「大好きだよ」
「俺もだよ。」
そうして俺達は口付けを交わした。
出会いは最悪で好きになる要素なんて無かったのに。
何故好きになったのか。そんなの俺達だけが知ってればいい。お互いの耳に光るアメジストピアスがその証拠だよ。
___end
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