アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
殺したんだ
-
「…ずっと隠してきたんですけど…今日言われたんです…。人殺しが幸せになれると思うな…って。」
そういう裕也の目は何処までも黒く希望が一欠片も見当たらなかった。
「……しかもそいつ…俺が殺した奴の…従兄弟だったんです…。そりゃ怒りますよね…」
諦めるように鼻で笑う裕也。
その姿は痛々しかった。
「……俺…本当はこんな喋り方なんです。…あの馬鹿みたいな…〜っす!…って飛鳥…殺した奴の喋り方なんです。…そいつのこと忘れないように…自分の犯した罪を忘れないように…真似してたんです。」
なんとなく裕也が俺にだけ話した理由がわかった気がした。
こいつは仲間が欲しかったんじゃないか。
ずっと一人で罪を抱えて辛かったんじゃないか。
そう思った。
まだ自嘲的な喋り方で告白している裕也をそっと抱きしめる。
「…っ!!」
「…大丈夫。大丈夫だから。確かに人を殺めたのは許されることではないけどきっといつか報われる時がくるから…ね?だから今は罪を滅ぼす方法を考えて…」
「…恋夏…先輩…ふぅ…うっ…うぁぁ…!!」
裕也は声をあげて泣いた。
俺はそれを静かに宥めた。
いつか裕也が心から笑うことができるように。
しばらくして裕也が泣き止んで俺は疑問を投げかけた。
「…人を殺したって言ってたけどどうやって?刑務所か少年院か入ってないんじゃない?」
人を殺した罪にしては無罪となるのはあり得ないし刑務所や少年院から出てくるとしたら早すぎる。
「……俺は言葉で殺したんです。」
「言葉?」
「……口喧嘩が勃発してお互い興奮してた時俺言ったんです…『お前なんか死ね』って…その時はただの悪口…喧嘩の延長で言ったんですけど急に飛鳥の目が変わったんです。光を移さなくなったんです。その後急にどこかに走り出して…言いすぎたから明日謝ろう…と思ったけど…明日は無かったんです。俺と飛鳥の明日はありませんでした。飛鳥は屋上から飛び降りたんです…」
「そういうことね…」
そりゃどこにも入らないわ…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
101 / 114