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薬
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何も言わずしゃくりあげる祐也の背中を一定のリズムで叩く。
「……ねぇ、祐也。お前はここ以外に行くところがあるんじゃない?少しでも遅れたら二度と会えなくなるよ?今すぐ行くべきじゃないの?」
俺が独り言のようにそう呟くと祐也はスッと立ち上がった。
「俺…
俺、紫苑に会ってきます!許してくれるとは思ってないし許してもらおうとも思ってないけど…でもちゃんと、ちゃんと話して分かり合いたい。。。だから…行ってきます。」
そのまま立ち上がりドアに向かって走って行く裕也の後ろ姿を見送りながら呟いた。
「………………行ってらっしゃい。」
青春だねぇ。。。
俺は裕也の恋も応援してやりたいけど生憎こっちも大変なんでね。。。
意味深に渡されたアメジストピアス。
箱から取り出し手に乗せて眺める。
…綺麗な紫だな。。。
俺は自分のこの気持ちが本当に恋なのかも熱のせいなのかも分からないけど後悔だけはしたくない。
あいつが遠い存在になってから恋だったと気づくのは遅い。
あいつは俺のこといじれる後輩くらいにしか思ってないだろうし、その…雪菜?さんとの関係も気になるけどやっぱり後から後悔はしたくない。。。
あー…頭痛くなってきた。。。
熱が上がってきたな…
薬飲まなきゃ。。。
薬どこ置いたっけ。。。
あ、あった。
棚の一番上の薬を取り出して飲む。
不味くも美味くもない。普通。
…うそ、クソ不味い。。。
うぇ…絶対こんなに苦いの体内に入れていいものじゃない。。。
よくさー…睡眠薬大量摂取の自殺あんじゃん。
俺、絶対できない。…自殺する予定はないけどね?
一粒で死にそうなのに大量にとか…拷問かよ…
恋も薬と同じだとおもう。
俺は一粒で死にそうになるけどある人は何粒でも平気そうに飲み込む。
俺はちょっとした仕草でドキドキして大変だけどある人は平気そうに眺めてる。
症状は一人一人違っててそれに合わせた対処法がある。
裕也たちには裕也たちの薬がある。
俺には俺の薬がある。
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