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朝、学校に登校してから靴箱を開けたら、上靴の上に見慣れない小さな水色の封筒。
「……。」
思い浮かぶのは、何の為か分かんないけど果たし状とか、不幸の手紙とか…渦巻くネガティヴ思考。やだなあ、これ。でも、この手紙を取らないと上靴は履けない。
覚悟を決めて手を伸ばす。カッターとか仕込まれてたら嫌だから、指先で端をつまんで持ち上げた。裏、表、光に透かして見る。うん、カッターは無し。ようやく安心してポケットへ入れて上靴を履いた。
「ぶんちゃん、今日は部活あるって部長からライン届いてるよね?」
「うん。」
最初は父親からの連絡待ちだけの予定だったのが、俺のスマホは案外活躍している。
制服に着替えたけど体育の後で汗が引かない。水道の蛇口の前、並んだ俺と一ノ宮は顔を洗いながら話してて、脇に抱えたジャージと一緒に持ってたタオルを取ろうとしたら、
ブシャァァ、
水の襲撃に遭った。
「…は?」
「わあっ!ごめん!」
何故そうなる一ノ宮…。ぼたぼたと落ちる雫。頭から思いっきり水がかかってる。濡れた半袖のシャツが体に張り付く。
どうやら上を向けた蛇口で顔を洗ってて、手があたったのか何なのか…よく分からん。ともかく、一ノ宮は顔と手以外は濡れてない。水は俺だけを襲ったみたいだ。
「ぶんちゃんっ、拭かないと!」
慌てた一ノ宮は肩に掛けてたタオルで俺の頭やら顔やらを拭く。それから俺のシャツのボタンを外しにかかった。
「待て、一ノ宮。ここ廊下。」
「うん。でも着替えないと!」
いや、だから廊下…。俺にここでストリップショー的なものをしろと?いや、露出狂的な?一ノ宮の手を逃れようと身を引くと、迫ってくる。それで窓際に追い詰められた。ちょっと!怖い!怖い!
「何やってんだよ至!」
先に教室に行ってた二條が、ポカリと一ノ宮の頭を叩いた。ようやく一ノ宮の動きが止まる。あれだな、悪気とかないんだって事は分かってる。でも、遠巻きに見てる女子の視線が痛い。
「ぶんちゃん、ごめん。とにかく着替えよう。」
近くの男子トイレに入る。
「あ、一ノ宮…ジャージの上貸して?俺の濡れてる。」
俺のジャージは無理、すっかり濡れてしまってる。半袖の体操服は汗臭い。
「うん。」
一ノ宮が脇に抱えていたのを俺に渡す。制服のズボンはまあ大丈夫だから、上さえ着替えればいいや。
それで、いい加減張り付いて気持ち悪い制服のシャツを脱いで、俺のよりサイズの大きい一ノ宮のジャージを着る。下に何も着てないから変な感じ、スウスウする。とにかくチャックを全部上げた。
「おお!ぶんちゃんかわいい。」
「……何が、」
「萌え袖。」
ぶっ!二條が吹いた。俺はソッコー袖をまくってやった。これで萌え袖とは言わせん!
「ああー、かわいかったのに!ね、ほーちゃん!」
「アホ。」
二條はまた、ポカリと一ノ宮の頭を叩いた。
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