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梅雨入りはまだ発表されてないけど、天気は微妙な曇り空。俺の誕生日も近付いて来た。
バス停まで降らないといいな…、濡れた傘を持ってバスに乗るのは好きじゃない。小雨ならささずに走ろう。
「ぶんちゃん、今度の簿記の検定受ける?」
窓の外を眺めながら思いを巡らせていると、同じ様に外を見ていた一ノ宮が聞いてくる。二條は席を外していて、バスの時間まで余裕のある俺は一ノ宮に付き合って教室に残ってる。
「うん、一応。」
商業高校だから簿記の授業もあるし、この学校は3級を取らないと卒業出来ない。それで、今月のは捨てるつもりで一応受ける事に決めていた。ここでもし受かったら、残りの高校生活は少し楽になる。まあ、気分的にだけど。
「一ノ宮は?」
「俺も受けるよ。落ちるとは思うけど、まあやっとこうかなって。ほーちゃんも受けるし。」
「ふうん…。なあ、美容師とかにはならないのか?」
「なるよ。高校出たら、専門学校へ行くんだ。で、経営とか事務的な事とかを学ぶためにこの学校に決めた。まあ、これは姉ちゃんの考え方の影響だけど。」
「そっか。じゃあ、二條もそんな感じ?」
「うん。一人っ子だし、家業を継ぐ予定だと思う。」
「二人とも、将来設計しっかりしてるんだな。」
一ノ宮が照れた様に笑う。
「ぶんちゃんは、どうしてこの学校にしたの?」
「俺は…就職の為に。」
この学校は、この辺の高校の中で一番就職率が高い。歴代の卒業生の中には企業の社長もいたりして、コネがしっかりしてると聞いた。勿論、就職先は成績順で良いところが決まる。だから、勉強には手を抜かない。
「そうなの?ぶんちゃんは成績いいから、進学組かと思ってた。」
ああ、この前の試験の結果が張り出されてたからか。
「寧ろ、成績いい奴の方が進学しないんじゃないか。この学校ならではだけど、就職率高いだろ。」
「そっか…そうかも。」
教室へ近付く足音。二條は、教室へ入りさっさと自分の鞄を取ると俺たちに声をかけた。
「帰ろうぜ。」
「うん。」
一ノ宮と一緒に頷いて、鞄を持つと三人で廊下へ出る。
二條の用事は察しがついてる。放課後直ぐに現れた二年生の女子生徒。同級生と違い、先輩ともなると俺様二條でも門前払いとはいかないみたいだ。
「断ったのか?」
聞かないでおこうかと思ったけど、やっぱり気になる。もしかしたら、さっきの先輩が二條の好きな人だという可能性もあるし。
「…まあ、」
「だよね。」
その返事、一ノ宮は確信があるんだな。二條の好きな人を知ってるんだろうか。それとも、…一ノ宮の知ってる人だったりして。
「夏さんって、美人だね。」
「えー姉ちゃんが?」
首を傾げた弟。身内だから評価が厳しいのかも。
「だから、あれは悪魔だ。うかつに近付くな。」
「それって、何の牽制?」
「はあ?そのまんまだろーが、」
「ふうん。」
例えば、従姉。
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