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声の限り4
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残暑はあるものの、いくらか過ごしやすくなった9月の朝、俺は宮城の地を踏んでいた。
東京都内に住んでいた俺にとっては宮城は田舎に感じたけど、郊外に比べたらよっぽど人がいて賑やかだった。
宮城に着いたら、あの孤独感は少し和らいだようだった。
ふと周りを見ると、あちらこちらに「牛タン」の文字が目に付く。
確かに宮城=牛タンっていうイメージあるかも。
そんなに牛タンが有名なら、是非とも食べてみたいものだ。
「転校先は、仙台市の伊達工業高校だ。強豪だぞ」
運転座席にいる父さんの低い声が車内に響いて、しばらく沈黙が漂う。
父さん、転校先がどこかなんてどうでもいいよ。
強豪だろうが弱小だろうが、音駒を離れることには変わりないんだから。
俺は音駒のみんなが好きだったんだ。
車で街を通り抜けると、そこに立派な白い建物が現れた。
大きくて綺麗で、思わず見入った。
「ほら、ここよ」
助手席の母さんがおもむろに指差した建物は、俺が見いった白い建物だった。
それが伊達工業高校らしい。
俺が嫌でも明日から通わなくちゃならない学校だ。
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