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声の限り12
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その日以来、茂庭さんは俺のことをすごく気にかけてくれた。
転入生は、転入してから1週間経たないと部活に参加させてもらえないらしい。
だから放課後は暇だ。
でも、部活があるはずの茂庭さんは、俺と話すためにわざわざ時間を開けてくれたんだ。
それも毎日。
「部活はいいんですか?」
って聞きたいけど、言えないし、友達が少ない俺にとっては嬉しかった。
茂庭さんの話はすごく面白くて、俺が笑顔になるようにといろいろ考えてくれたんだ。
その頃から、音駒のメンバーと連絡が取れるようになった。
一番最近きたメールは、研磨だった。
『福永げんき?こっちは3年引退したから楽しい。おれスタメンになったよ。福永いたらスタメンだったのに。会いたいよ』
泣きそうだった。
最後の「会いたいよ」が研磨らしくなくて、だけど、そんな研磨が大好きで。
そういえば、夜久さんからもメールきてた。
『元気でやってるか?福永がいないと寂しいよ。そっちでもバレーやんだろ?当たったら倒すからな!待ってろよ』
さすが夜久さん。
男前で優しい音駒の兄貴兼母だもんな。
俺はそんな夜久さんも大好きだった。
もちろん、父親みたいな海さんや、父親っぽいのに実は次男みたいな黒尾さん、意外と長男っぽい虎、末っ子の研磨。
みんなみんな大好きだった。
そんなみんなに恥じないよう、俺も新しいバレー部で頑張るよ。
茂庭さんに声のことは話さないと決めた。
やっぱり迷惑かけたくないし、変に同情を買いたくなかったから。
そんな贔屓目、俺は望んでない。
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