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声の限り14
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「じゃあ解散!」
「「ッス!!」」
全員が体育館に散らばったとき、俺は違和感を感じた。
強豪ならもっと人がいてもいいはずなのに、結構少なめだった。
それでも音駒に比べたら多いけど。
その時、M字前髪さんが茂庭さんに声をかけた。
かなり小声だったけど、俺は耳が結構いいからか辛うじて聞こえた。
「…今日3年来んのか?」
少し嫌味を感じる言い方だったように思う。
「…さぁ。インハイ終わって、俺たち主体になってから疎遠だし。もともと俺ら嫌われてたから来ないんじゃないかな」
「まぁあいつらはもう引退してるしな」
「笹やん!あいつらとか言わないの。先輩だよ?」
「別に俺あいつらを尊敬してた訳でもねえし。茂庭だってそうだろ?」
「それは…」
「だいたい茂庭が一番嫌がらせ受けてただろ!?俺許せな―」
「笹やん、気持ちは嬉しいけど、今は部活中だよ?ほら、福永がポカンとしてる」
あっ。
俺ポカンとしてたのか。
茂庭さんは俺の頭をポンと叩いた。
「福永、こいつ笹谷。同じウィングスパイカーだ。いろいろ教えてもらいな」
笹谷さんは申し訳なさそうに茂庭さんを見る。
「悪い。3年のことになるとついカッとして」
「いいよいいよ。笹やん、福永は前の学校でもバレーやってたんだ。かなり上手そう」
「へぇ、よろしくな。負けないよーに頑張るよ。じゃ、練習戻るわ」
「おう」
笹谷さんがコートに駆けていく。
「さっきの話だけど」
茂庭さんが声のトーンを落て振り向いた。
「気にしないでね」
憂いを帯びた笑顔。
突き放された感じもしたけど、俺は頷くしかなかった。
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