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声の限り17
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「そっか…。茂庭さんたちのこと聞いたのか。ほんと、悲しい話だろ」
翌日の朝、俺は二口と話した。
(二口が話して俺が反応するだけだけど)
俺が登校したら二口が「茂庭さんの話は聞いた?」と問うてきたので、素直に頷いたらこうなった。
「茂庭さんさ。優しいから先輩のこと全然責めないんだ。「なんで抵抗しないんですか」って聞いたら、「俺が戦力にならないのが悪いんだ」って言うんだ。俺、その度泣きそうになる」
二口は唇を咬んだ。
相手が先輩だから、余計に悔しいんだろう。
それは俺も同じ気持ちだった。
「福永には言っておくよ。富江って先輩に絡まれたら、絶対に突っかかるな。そいつは、茂庭さんをいじめた中心人物だ。この上なく危険だから」
そう言って二口は席を立つ。
そしてあっ、と窓の外を覗いた。
俺も真似してみる。
「おい。あの茶髪メガネわかるか。イケメンの」
俺は頷いた。
登校してくる生徒のなかに、そいつはいた。
背は二口と同じくらいで、スタイルもいい。
「あいつが富江だ。富江快人。前までバレー部を牛耳ってた奴。主将じゃないのにだぜ?まじ腹立つ」
呟いた二口は、力任せに壁を蹴った。
彼はそんなに危険なのか?
普通にさわやかなイケメンといった印象なんだけど。
それに彼の粗相が悪いというのは聞いたことない。
「いいか、絶対だぞ。裏でやってることはうまく隠してるんだよ。暴力が危険とかじゃなくて…いや、それも充分危険なんだけど。何て言うか、常識が通用しないんだ。…とりあえず、関わるな」
俺は一応頷く。
それだけ二口が言うのなら、相当な人なんだろう。
2人で窓をガン見してたら、運悪く富江と目があった。
ヒラヒラと手を振ってきた。
横を見ると、二口が引きつった笑顔で会釈している。
嫌いなんじゃないのか?
「なぜか俺は気に入られてる。あと青根も。別にいいことねえよ」
忌々しい奴。
と吐き捨て、二口は席についた。
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