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声の限り22
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あれ以来、俺たちは茂庭さんと普通に話せなくなっていた。
といっても、俺はもともと声でないしそうでもなかった。
初めて声が出ない状態をありがたく思った。
それはさておき問題は二口だ。
あからさまに茂庭さんを避けている。
ショックなのはわかるが、あからさま過ぎて周りが不審な目で見ている。
目を合わさないのはもちろん、話しかけられても声を出すことはなかった。
茂庭さんは今まで通り接しているけど、2人の温度差は火を見るより明らかだった。
もう少しで春高予選なのに、気まずさは増す一方だ。
キスマークもアザ同様、簡単に消えるものではないので、部員の間でも話題に上がった。
その度俺たちは胸が痛くなる。
でももっと問題だったのが、日に日に茂庭さんのキスマークや縄の痕が増えているということだ。
「もう何を信じたらいいかわかんねぇよ」
そう言って二口は登校拒否した。
二口の家に入るのを許されたのは、青根と小原と俺だけだ。
この3人だけは信じられるのだと言う。
二口が登校拒否しているのを知った茂庭さんは、まるで我が子のことのようにショックを受けていた。
でも、登校拒否の原因が自分だと察して、更に辛そうだった。
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