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声の限り24
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「悪いな、わざわざ来てもらって。適当にあがって。俺お茶用意するし」
二口の家は市内のマンションで、かなり広い。
来るのは二度目だけど、なかなか緊張する。
「お邪魔しまーす」
小原に続いて俺と青根も入る。
二口の部屋は、玄関入ってすぐの洋室。
親は共働きで、いつも家に1人らしい。
そういう点では俺に似てる。
二口の部屋に座った俺は、ふと机に飾ってある写真を見つけた。
それは、屈託のない笑顔で映った二口と茂庭さんだった。
俺の見たことない茂庭さんだ。
「あぁ、それ?」
小原がその写真を手にした。
「これは、俺ら1年が入部した頃の写真。二口、2年の中でも特に茂庭さんのこと大好きでさ、よく茂庭さんからかって遊んでたよ」
懐かしむようにその写真を撫でる小原。
写真の中の茂庭さん、幸せそう。
俺は、こんな風に笑ってほしい。
「はい、お茶。あとポテチね」
二口がお盆を持って部屋に入ってきた。
小さなテーブルにコップとかを並べながら、二口は言った。
「茂庭さん、すごく楽しそうだろ?俺、この写真の笑顔を取り戻したいんだ」
写真を小原から受けとると、それを机に戻した。
「どうしたらいいかな」
二口の表情がふっと変わった。
殺気…が滲み出ている。
「まずは富江だ」
小原はノートを取り出した。
「ターゲットは茂庭さんから変わりないっぽいな」
そう言って『茂庭さんにこだわる理由は?』とノートに書いた。
「今の主将だからってのもあるだろうけど、なんか他にも理由ある気がする」
小原の意見にはみんな頷いた。
「なんだろうな…」
二口は考え込んだ。
その時、ピンポーン。
インターホンが鳴った。
「ったく誰だよこんな時に」
二口は立ち上がって玄関を覗き穴から覗く。
その瞬間「えっ」と叫び声をあげた。
「どうした」
「富江だ…」
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