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声の限り25
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二口の顔は真っ青になっている。
「ま、マジかよ。なんで来るんだよ。てか俺らどうしたらい―」
「二口ー?居るのはわかってんだよ!開けろー!!」
小原の声を遮って、富江が叫んだ。
「とりあえずクローゼットに隠れてくれ。荷物も隠して。絶対物音たてるな。何があっても出てくるなよ、何があっても、だ」
二口の指示にみんな従った。
二口は俺たちの靴を隠して、お盆も下げた。
俺たちが隠れたのを確認して、二口は玄関を開けた。
「ど、どうしたんスか」
「どうしたじゃねーよ、早く開けろよー」
「す、すんません」
ドカドカと足音がして、ドスンと音がした。
富江が床に座った音らしい。
俺たちは息を潜めて、クローゼットの隙間から様子をうかがう。
二口が危険になったら飛び出すためだ。
二口の言いつけを守るきなどハナからなかった。
「何か用スか」
「んー、別に?」
「別にって…」
「おっ。これ、お前が入部してきた時の写真?」
富江は机に飾ってあった写真を手に取る。
「あ、茂庭とツーショットじゃねえか。なんだコイツ、ヘラヘラ笑いやがって」
そう言うと富江は写真を二口に返した。
あれ?
俺てっきり引き裂いたりするのかと思ったんだけど。
「そういえば、バレー部に転入生入ったんだろ?」
「ッス」
「何て言う子?」
「…福永ッス」
俺の話になってる。
「…へぇ。福永クンねぇ」
「あっあの!」
二口が富江に向き直った。
「ナニ?」
「前から気になってたんですけど、富江さんは茂庭さんのこと嫌いなんスか」
うわ。
単刀直入に言ったなあいつ。
ちらっと横を見ると、小原と青根はゴクリと息を飲んでいた。
「嫌いかな。うん、嫌い。俺、弱いやつ基本みんな嫌いだから」
「そうなんスか」
「でも最近溜まっててさ。まぁその捌け口の1つが茂庭だったってだけ。結構相性よかったよ」
富江は二口が出したお茶をくいっと飲んで、クククと得意気に笑う。
いやらしい笑い方だ。
「でも、茂庭さんは他の人とは違うんスよね」
「んー何て言うか、茂庭は何かと楽そうだし?俺を責めなそう」
「そうなんスか」
「部内では役立たずだけどね、俺のストレス発散には貢献してるよ」
「そうなんスか」
二口は機械のように、ただ「そうなんスか」を繰り返した。
怒りのボルテージが最高潮まで達したようだ。
「じゃあ今度はこっちの質問に答えてもらおうかな」
富江はそう言った瞬間、二口をベッドに押し倒した。
ギシッとベッドが鳴り、ふたりの身体が重なる。
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