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声の限り29
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1階に降りて、郵便物を見てみる。
新聞と、広告と、ん?
なんかよくわからない小包が入ってた。
俺はそれらを持ってリビングにいく。
小包はそんなに重くなくて、柔らかい何かが入っていた。
「誰からだろ」
差出人は書いてなかった。
包装紙を開けて中を見てみると、そこには“伊達の鉄壁”と印刷された緑色のタオルと、一枚の封筒が添えられていた。
封筒には手紙が入っていた。
綺麗な字で、こう書いてあった。
『福永へ
ごめんなさい。
もう、福永は俺のこと嫌いになったよね。
俺の事情に巻き込んで、福永からバレーを奪ってしまったから。
それだけじゃない。
高校生活っていう大切な時間まで奪ってしまった。
許してほしいなんて虫のいいことは言わないよ。
ただ、謝りたいんだ。
何度か家に行ったけど、留守でダメだった。
この手紙だけで済まそうなんて思ってない。
9月半ば、富江さんが俺に関わるのを止めたんだ。
二口から全部聞いたよ。
福永のおかげなんだろ?
自分を犠牲にして、俺を助けてくれたんだね。
けど、俺だけ楽しい時間を過ごすのは嫌だ。
福永、お願いだ。
一回だけでいい、学校に来てくれ。
話がしたい。
茂庭要』
「茂庭さん…」
彼は、自分のことを責めている。
俺は、大切な人を守りたくてやったのに、それじゃ俺の気持ちが報われない。
それにしても、約束通り富江は大人しくしてるんだね。
それを知って安心したよ。
でもね、俺が学校に行かないのは、茂庭さんの為でもあるんだ。
俺が学校に行ったら、また茂庭さんは富江に目をつけられる。
そんなの耐えられないよ。
行きたくても行けないし、行きたくもない。
だけど後悔はしてない。
茂庭さんは今、笑顔でいられてるんでしょ?
だったら俺は十分幸せだよ。
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