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隣町の図書館で、デートをしていたときのことだった。
いつものようにお気に入りのソファに並んで座り、たわいもないおしゃべりをしていると、慧悟さんは急に真顔になった。
「なあ、拓海。……何があっても、俺を信じてくれるか?」
突然そんな質問をされたので、とっさに答えることができなかった。
「急にどうしたの?」
いつもと様子が違いすぎて、戸惑っていると。
「拓海。俺を信じるのか。どうなんだ、答えろよ!」
いきなり肩を掴まれて、問い詰められる。
慧悟さんの剣幕に、どう反応すればいいのか分からず固まってしまった。
「ごめん、怖がらせて……」
戸惑っているボクに、慧悟さんがようやく気づいたようだ。
さっきの剣幕は嘘みたいだった。力なく言った言葉が、ボクには悲しげに聞こえた。
こんな慧悟さんは初めてだ。
自分の感情を、うまくコントロールできないでいる。
「ボクは大丈夫だから、気にしないで……」
慰めるように、わざと明るい声で言う。
慧悟さんは苦しそうにため息をつくと、ボクの身体に腕を回した。
何も言わずにボクを抱きしめると、首筋に顔を埋めてきた。
「拓海、愛してる……」
囁くような愛の言葉じゃなく、言絞り出した感じに近かった。
その分、慧悟さんの真剣さが伝わってくる気がした。
「ボクも、愛してるよ」
そっと慧悟さんの身体を抱きしめてあげる。
「……慧悟さんの言うことなら、何でも信じるよ」
嘘でもなんでもなく、本心からの言葉だった。
ボクの言葉を聞くと、慧悟さんはほっとしたように身体から力を抜いた。
慧悟さんとは対照的に、ボクは不安な気持ちでいっぱいになった。
不安はすぐに、形となって現れた。
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