アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
プロローグ
-
幼稚園。
「なんで叩いたの?痛いよぉ」
と泣く僕。
「なんで叩いたんだよ。優が泣いてるだろ!」
とかばう君。
この前と後ろの構図はお決まりで、幼稚園でのちょっとした名物みたいになっていた。
小学校。
「こんなのわかんないよ」
とすねる僕。
「ここはね、こうしてこうするんだよ。ほら、解けた!」
となだめる君。
僕が泣かなくなったくらいで、他は何も変わらない。
中学校。
「…」
と強がり
「やだよ痛いよ返してよ」
と誰にも見えないところで泣く僕。
それでも君は必ず僕を見つけだし
「ほら」
と差し出す君の手には、いじめっ子に盗られたものがいつものっていた。
そしてそれを僕が受けとると、その手は今度は僕の手を取るんだ。
「泣くなよ」と。
そして、高校生。
今までと何ら変わらない。
僕が後ろ、君が前。
そんな日常がずっと続いていくんだろうなと思っていたんだけど、君のもつ秘密がそうはさせてくれないんだよね。
君は気づいていないかもしれないけど、君には秘密があるんだ。
僕はそれに、幼稚園の頃から気付いていたよ。
気付かないふりをして
いつも月曜日には笑ってた。
だって君は、土日を挟んだ月曜日。
その日の帰りには、いつもこれを言うんだ。
「バイバイ」
でもそれでも、僕と君には火曜日があったから笑えた。
火曜日の帰りには、決まってこう言ってくれるんだもん。
「またね」
君の言葉で、僕はこれが一番好きなんだ。
これは君が覚えている証拠だから。
そして、明日を約束してくれるものだから。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 4