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二度目の。
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それから母親が到着したことによって解放された俺たちは慌ただしく家に連れ帰られた。
突っ込まれるのではと気がかりだった、襲われた時に出来た傷についてはほとんど治りかけていたためか医者は特に何も言わず、内心俺はほっとしていた。
着いた頃にはもう夕方になっていたが、急な仕事ができたということで母はまた出かけるようだった。
「…ありがと、母さん。心配かけてごめん…もう大丈夫だから。仕事行って良いよ」
「あら冷たい。…なんて、何かあったら連絡してね?すぐに戻ってくるから」
「……うん。」
素直に頷いた俺を見て母さんは目を細めると、隣に立つ光汰に目を向けた。
「光汰君、春の面倒見てくれてありがとうね。」
「えっ…い、いえ、俺は……そんな、…!」
急に話を振られしどろもどろになる光汰を微笑ましそうに見た後、車のエンジンをかけた母は再び俺に笑いかけた。
「春、光汰君と仲直り出来たみたいで…良かったわね。」
「へっ!?ぁ、いや……そ、うだね…?」
思わず目をそらしてしまった俺の横顔に違うの?という母の視線を感じるが、気付かないふりを押し通す。
「…あっ、そうだご飯。昼の残りがあると思うから、晩御飯はそれでも良い?それと多分帰りは遅くなるから戸締りよろしくね」
「うんっ…。行ってらっしゃい」
光汰と共に車を見送ってしまうと、二人の間に気まずい沈黙が流れる。
…明日も試合らしいし、寝不足の光汰をここで引き止めるのも気が引けたので、へらりと笑って俺はその場を離れようとした………のだが。
「…えっ…と、……光汰…?離し…」
「だめ。何逃げようとしてるの?」
「いや、別に逃げようとなんて……え?あの……なんか怒ってる…?」
慣れない松葉杖に手間取っていると光汰に肩を掴まれる。
久しぶりに見る光汰の笑顔だったが、なぜか今は凄みを感じる。
あの……怖い…です。
「そんな足じゃ、家に入るのも大変でしょ?俺が手伝ってあげる。」
「え?っいや、慣れたら多分大丈夫だから……っと、
ぅわッ!?!?」
笑顔のまま距離を詰めてきた光汰に戸惑っていると、突然腕を引き寄せられる。
なんかこんなこと前にもあった気がする、とデジャブを感じながらバランスを崩したところを光汰に抱き止められる。
ッいやいやいや!!!冷静に考えてる場合じゃないだろ!!どうしてこんなことになってるんだ……!!?
フリーズしていると急に体がふわりと浮く。
パニックで光汰に抱きかかえ上げられたことに気が付かなかった俺が怖くて目を瞑った次の瞬間、これもまたデジャブだが…お姫様抱っこをされていた。
一つ、前とは違う点をあげるとするならそれは………。
う、わ……何これ、…?心臓、うるさい…。
俺が光汰を好きだと、自覚したこと。
いきなりのゼロ距離に、まるで少女漫画の主人公のように胸がどきん、と跳ねる。
今まで正直、少女漫画の世界をこんなこと現実にある訳ないだろ、なんて若干馬鹿にしてもいたが、全力で訂正したい。
どうしよう、こんな……今日以降、俺は生きていけるのだろうか…?
二人きりになってしまうと、俺がその…告白、したことも絶対聞かれるだろうし。
罵られる?泣かれる?さすがに殴られたりなんて、しないよな…?
幼馴染はもう無理でも、せめて友達くらいは名乗らせてもらえるだろうか、と気付かれないようにそっと光汰の表情を伺う。
底の見えない完璧な王子様スマイルのまま、光汰は俺を連れて家に入った。
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