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後日譚の隣。4
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「はあぁぁぁぁあああ!?!?!?何この子かぁわいいぃ〜〜〜〜〜!!!!ぱっちりキラキラお目々にハの字眉!!!ちょっと不安そうな顔での上目遣いッッ!!!待って無理無理あざと可愛いぃはぁ〜〜〜〜〜!!!!」
「ひいぃぃぃぃいい!?!?やだやだこわいぃ!!!こっ、こここ、こうちゃ…!!こうちゃぁぁぁ!!!!」
凄まじい速度で、某百獣の王の子供よろしく抱き上げられた。混乱を通り越し、もはや身の危険しか感じなかった俺は、下でその様子を呆然と見守っていた光汰に全力で助けを求める。どうにか抜け出そうと体を捻り短い手足をばたつかせるも、そんなささやかな抵抗さえも愛おしいという風に、薫子さんは蕩けた顔で幸せそうな笑みを崩さない。
その時は食べられる、とまで思った位の生理的恐怖。
「かっ…かあさんやめろよ!!!はるちゃんがこわがってるだろ!!かあさんってばぁ!!!」
俺のSOS信号に泣き声がプラスされそうになった頃。やっと状況に頭が追いついてきたのか、慌てて光汰が薫子さんの脚を引っ張り、なんとかして俺を離すよう説得する。
「えぇ?怖がってるですって…ってやだ、ごめんなさい大丈夫!?」
既に戦意を喪失し、されるがままになっていた俺がようやく地面へ降ろされる。ただいま地上。もう二度と離さないでくれ。
「うぅ……っ、う、………こうちゃん…この人、本当にこうちゃんのお母さんなの…??お家、間違えちゃった…?」
「はるちゃんごめん…この人ちょっと変なんだ」
光汰の背中に隠れ、おずおずと様子を伺う。目の前の変質者?は、先程とは打って変わって静かになっていた。
「えぇと……春くん、だよね?いつも光汰から話に聞いてたの。さっきは本当にごめんねぇ…おばさんちょっと興奮しちゃって……」
「ちょっと…?」
あれが"ちょっと"なら、その上があるのだろうか。距離感を測りかねていると、光汰が振り返って悪気はないんだ、と申し訳なさそうに言った。
その顔と変質者、もとい光汰の母親の顔を見比べ、1歩前へ出る。
「えと…ぼ、僕は"すぎのはる"です。こうちゃ…こうたくんには、いつもおせわになっています…!」
「か、かわ…ん"ん………、私は母親の薫子です。こちらこそ、いつも光汰と仲良くしてくれてありがとう〜」
「……えへへ、」
伸びてきた手に反射的にびくりとするが、優しく頭を撫でられ、嬉しくなる。撫でられるのは好きだ。
薫子さんのもう片方の手が天を仰ぐ額を抑えていることには気付かず、へらりと微笑む。どうやら光汰の言う通り、悪い人ではないらしい。
「可愛さの暴力…いや負けるな私……、ええっと。私も光汰みたいに春くんのこと、"春ちゃん"って呼んでもいいかな…?春くんともっと仲良くなりたいな~…なんて」
「…?もちろんです!そう言ってもらえて、うれしいです…」
「はにかんだッッ…!!!っん"っん〜……、ありがとうー!これからよろしくね〜」
「はいっ!よろしくおねがいします」
ぺこりとお辞儀をする。次に顔を上げた時、なぜか微笑みながら泣いていた薫子さんを心配するも、"かあさんはきゃぱおーばーなんだ"と光汰は頷きながら言い、もう家に帰った方が良いと促されその日は挨拶のみで別れた。
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