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自覚。 *光汰side*
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次に目を開けたとき、俺は病院の中にいた。
幸いにも俺は軽い打撲と切り傷だけで済み、後遺症なども残らないと医者に言われた。
後で聞いた話によると、春ちゃんは自分に黙ってどこかに行ってしまった俺を心配して町中探して走り回っていたようだ。
春ちゃんが俺をあの公園で見つけたとき、いじめっ子たちは落ちたきりぴくりとも動かなくなった俺を見ておそらく怖くなったのだろう、すでに逃げ出していて誰もいなかったそうだ。
あれから俺の意識がなくなった後も春ちゃんは泣き続けていて、その騒ぎに何事かとやってきた近所の大人が救急車を呼んでくれたらしい。
俺がこんな怪我をした原因が原因なだけに、家族以外の面会はすべてシャットアウトされた。
一度だけ例外として、先生がいじめっ子たちとその親と連れてやってきて、大げさな謝罪の後に来年のクラス編成などについて俺の希望を聞いてきた。
だから俺は春ちゃんと俺を残りの学校生活のクラスを一緒にすること、いじめっ子たちとは絶対に一緒のクラスにしないことの2つを要求した。
教師は事をあまり大きくしたくなかったのだろう、すぐに了承して次は杉野のところに行くから、と言って足早に去っていった。
残されたいじめっ子の親に彼らと少し話がしたい、と退出してもらい俺はびくびくしながらこちらの様子をうかがっている奴らにイラつきを覚えつつ一人ひとり真っすぐに睨み付ける。
「……お前らが春ちゃんにつけた傷はきっともう一生治らない。感じてる痛みは僕なんかの比じゃないくらい大きいんだ!!!!もしまた春ちゃんに何かしようものなら、僕は絶対にお前らを許さない…!!どんな方法を使ってでも必ず同じ思いを味合わせてやるからな、だからもう二度と、春ちゃんに近づくな!!!!」
いじめっ子たちはすでにたくさんの大人たちにこってりと叱られた後だったらしく、俺の剣幕に押されて青い顔をしてこくこくと頷いた。
奴らが親と一緒に帰ってしまってから1か月ほど、春ちゃんに会えない退屈な日々を過ごしていた俺にやっと退院の許可が下りた。
病院から出ると、ずっと俺が出てくるのを待っていたらしい春ちゃんは俺の姿を認めると泣きながら走り寄り、抱きついてきた。
1ヵ月ぶりの春ちゃんは前よりもさらに小さく見えて、俺の名前と謝罪の言葉を何度も繰り返しながら、小さく震えるその華奢な肩を俺は強く抱きしめた。
「春ちゃんっ…!僕は大丈夫だから。お願い、泣かないで?大丈夫だから…」
俺の優しい声に安心し、1ヶ月間ずっと強く張り続けていた気持ちの糸が完全に切れたのか、嗚咽を漏らしながら春ちゃんは箍が外れたようにまた泣き始めた。
今度こそ、守らなきゃ。僕が……俺が、もっと強くなって…、春ちゃんを……!!
大丈夫、と繰り返しながら俺はそう決意して春ちゃんには聞こえないくらいの小さな声で言った。
「春ちゃん………………………大好きだよ」
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