アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
強さ。 *坂口side*
-
俺は救出した杉野をかかえて、ひとまず応急処置をするために自分の家に運んだ。
いまだ意識を失ったままの杉野をベッドに寝かせるとスマホを取り出し、あるところに電話をかける。
「………はい」
数回のコールの後、不機嫌そうな男の声が聞こえてきた。
「大宮か?緊急事態だ。これから俺の家の住所を教えるから、すぐに来い」
「は?…悪いけど。今はお前の茶番に付き合ってられるような気分じゃねぇから」
「杉野が襲われた」
「………は、」
「冗談なんかじゃない。事情は会って話すから、とにかく急いで来いよ」
「えっ……ちょ、まっ」
制止する大宮を無視して電話を切る。
すぐに住所を送信すると、俺はため息を吐いて天井を仰いだ。
…本当に世話の焼ける二人だ。
振り返るとすぐ隣で今はすやすやと落ち着いた寝息を立てている杉野の、さわり心地が良く色素の薄い髪の毛を指で軽く梳く。
「…全く、お前の王子様は一体何やってんだろうな。俺なんかを警戒するより、もっと見るべきところがあるだろうに」
もしさっきの場面に出くわしたのが俺でなく大宮なら、きっと何も考えず突っ込んでいって、お前のことをいとも簡単に助けてしまうのだろう。
俺のように他の力を借りず、己の力だけで。
「…あいつは強いよ。お前が心配しなくても、強くならなくてもさ。……まあ、俺がそう言っても聞かないんだろうけど~。お前のそういうバカみたいに真っ直ぐなところが昔のあいつを見てるみたいで…ついかまっちまうんだけどな。それに。杉野のそういうところが、大宮はかわいくて仕方がないんだろうけど、っと…早いな~、もう来たのか」
俺がぽんぽんと杉野の頭をしばらく撫でてから立ち上がると、インターホンも押さずに無遠慮な足音と共に息を切らした大宮が入ってきた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
21 / 82