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嵐の記憶。
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「ん……ぅ…」
目を開けると、天井があった。
しばらくぼんやりと眺めていると自分の部屋でないことに気付き、慌てて起き上がると頭が鈍く痛んだ。
「うぅ……いた…」
痛みに眉をひそめながら周囲を見回すとそこは見慣れた光汰の部屋で、ベッドの側には光汰がもたれかかって眠っていた。
なんで俺、光汰の部屋になんかいるんだ?
混乱する頭を押さえて、少しずつおぼろげな記憶を辿る。
俺…光汰の家に行って、そこで光汰と…けんか、したんだ。
それから家を飛び出しちゃって、公園に行ったら……襲われた…。
ん……”襲われた”?誰に…?誰、に…………。
それまでずっと白い霧がかかったように不鮮明だった思考がさっと晴れて、沢山の情報が一気に流れ込んできた。
「あ………あ、ぁ…俺、は……」
「ん……春ちゃん?起きたの?」
「…ぁ……え…ぅ……」
「…春ちゃんどうしたの?すごい汗…」
光汰が心配そうにのぞき込みながら聞いてくる。
「あ……ご、めんなさいっ…ごめんなさい!!!」
「春ちゃん…?なんで謝るの……??」
思い出した。
「怖い…やだ、痛いのは嫌だっ!!!!」
「っ、ここには俺しかいないよ?とにかく落ち着いて春ちゃんっ!」
止まない暴力の嵐。
今日の出来事が、過去の記憶と……………………重なる。
「光、ちゃんは?」
「え……?」
「光ちゃん、今日はどこもけがしてない?」
「…け、がは、してないよ。春ちゃんっ…一体、どうしちゃったの…!?」
「良かっ、たぁ…。光ちゃんは、僕が守るから。悪いのは全部僕だから。もう光ちゃんが傷つくところは、見たくないよっ…。傷つくのは……傷つくのは、…」
「っ!!!春ちゃん!!やめてっ!!!」
「傷つくのはね…………………………俺だけでいいから」
「ッ春!!!!!!!」
「っえ………ぁ……」
腕をつかまれて引き寄せられる。
突然のことに反応できなかった俺は、そのまま光汰に強く抱き締められる。
「あ……光、汰…?」
「春は悪くない」
「…え……?…」
「春は、何も悪くないよ……!」
「や、めて…よ……。やめて……違う…やだっ…!!」
それ以上何も聞きたくなくて逃れようと必死に暴れる。
「春……」
……あぁ
「どうして光汰は………俺を責めてくれないの?」
「え…春……?っ、春しっかりして!!はる!!!」
俺はぷつりと糸が切れた人形のように光汰の腕の中で気を失った。
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