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違和感。
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「…ん、ぅ………?」
頭が痛い。殴られた…んだっけ?俺…。でも外からくる感じの痛みじゃなくて、頭の内側から叩かれてるような…?
なんか力いっぱい叫んだ後みたいな……。
叫んだ…?
俺は……夢を、見ていたような気がする。
起き上がると光汰がいて、何か俺に向かって必死に叫んでいた。
じゃあ俺は…?
俺は、何を言っていた?
必死に思い出そうとしても痛む頭は何も答えてはくれなかった。
「春ちゃん…起きた?」
俺のうんうん唸る声に気付いてか、光汰がカップを片手にドアからひょこりと心配そうな顔を覗かせた。
「あ………えっ、と……」
返事をしようと出した声は少しかすれていたが驚いたのは俺だけだったようで、光汰はほっとしたようにゆっくり部屋に入ってくる。
「良かった。坂口から春ちゃんが倒れたって聞いて、俺すごく心配したんだよ?ここに着いてからもずっと目を覚まさないし…」
「え……?」
”ここに着いてからもずっと目を覚まさない”?
ってことは、やっぱりさっきのあれは夢……だったのか?
俺がまた首をかしげて唸っていると、光汰は手に持っていたカップをこちらに差し出しながら言った。
「はい。これホットミルクだから、良かったら飲んで?今からお風呂沸かしてくるから、ちょっと待っててね」
「え、あ……ま、待って!」
そう言って離れていこうとする光汰の袖を思わず掴んでしまってからはっとする。
「ぁ…や、ごめん。その、俺…さ、何か…変なこと言ってた?」
「……いや、何も言ってなかったけど?」
「そっか…うん、ならいいんだ……何でもない」
「そう?じゃあ、ちょっと待っててね」
「うん…」
光汰が出ていったドアの先を見つめてから、俺はため息をついた。
結局、俺の夢…だったのか。
光汰もいつも通りに見えるし…それに、”倒れてた”って…。
俺はまだ微かに舌に残る違和感を喉の奥へと追いやるように、甘いホットミルクをぐっと傾けた。
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