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決心。
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「ぅ、痛……っ、」
自分でなんとか風呂に入れたのは良いものの、怪我をしたところに温かいお湯が染みてじくじく痛む。
痛い……けど、我慢できないほどではないし、それに…………
昔光汰が感じた痛みに比べたら、なんてこと……ない。
「……。」
下がった視線の先には、ただ細いばかりで頼りない自分の身体。
「……こんなんじゃ、誰かを守るどころか自分のことも守れない…よな」
事実。俺は坂口に助けられ、きっと光汰だって…迷惑に思っていることだろう。
というか、色々ありすぎたせいで今まですっかり忘れてたけど、俺光汰と喧嘩してたんだったっけ。
……一方的に、だけど。
あれだけ好き勝手に言って出ていったのに文句も言わないどころか俺の世話をこんなにも甲斐甲斐しく見てくれている。
申し訳ないどころか、感謝すらしているのに。
ちゃんと………謝らないとなぁ…。
それに…こんな風に人に頼ってばかりじゃだめだ。
いつまで一緒にいて貰えるか、分からないのに。
これ以上光汰に迷惑はかけられない。
「…一人で、行かなきゃ」
…襲われた時、
目の前で知らない奴らに…光汰のこと、何にも分かってない奴らに
散々悪口を叩かれていたのに俺は、恐怖と動揺であいつらに何も言い返すことができなかった。
……痛いのはいやだ。
怖いのも嫌いだ。
でも
大切な幼馴染をバカにされるのは、もっと嫌だ。
言った後どうなるかなんて分からないし、もしまたあんな目に遭ったら、と思うと身体の震えが止まらない。
それでも、言われっぱなしで黙っているのは、なんだかすごく…もやもやする。
路地裏で目が覚めて辺りを見回した時、食べ物のゴミや無数の雑誌がそこかしこに散らばっていた。
おそらく、あそこがあの三人組の溜まり場になっているのだろう。
俺は気を失ってたから正確な場所は分らないけど、適当に理由をつけて坂口から聞き出せばいい。
「うん…なんか力が出てきた。きっと大丈夫…。少しかっこ悪いけど、言ったら様子を見て逃げ出そう」
よし、と俺は覚悟を決めて温かい湯船から勢い良く立ち上がった。
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