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手当て。
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覚悟を決めて着ていたTシャツに手をかける。
ゆっくり脱ぐのも気恥ずかしくて、さっと脱いで床に置く。
「…ほら、脱いだぞ。これでいいんだろ」
「っ、うん。ありがとう…。じゃあ、消毒液塗るからね……ちょっと染みるよ」
「分かった…。………っ、」
消毒液が傷口に触れるたび鋭く痛みが走る。
痛みを我慢しようと、少し汗ばんだ手を膝の上で強く握り締めてひたすら耐える。
そう何とかやり過ごしていると今度はコットンや絆創膏が背中に貼られていく。
「…………んっ…」
慣れない感触が少しくすぐったくて、ピクリと体が反応してしまう。
何も喋らない光汰に変な声を聞かれるのが恥ずかしくて、何か話そうと口を開く。
「っ、光汰…」
「………なぁに、春ちゃん?」
「その……んっ、今日は、えっと………。…ごめん」
「んーっと……何のこと?」
「っほら、俺が勝手に一人で怒って、出ていっただろ…?手も振り払っちゃったし……その、痛く…なかったか…?」
「春ちゃん……。ううん、大丈夫だよ?心配してくれてありがとう…それに、謝らなくてもいいよ。俺が勘違いさせるような態度取ったのが悪いんだから」
「ぅ、……こ、光汰は悪くないけど、なんとも無いなら…良かった」
しばらく経つと全て貼り終わったのか光汰の手が俺から離れた。
「うー、くすぐったかったぁー…」
立ち上がろうとすると、急に大人しくなった光汰が腕を掴んできた。
「…光汰?何……手当て終わったんだろ?」
そう言ってもなお俺の腕を離そうとしない光汰を不思議に思って振り返ろうとすると、突然、後ろから光汰に抱き締められた。
「へ……………なっ、ななななにすんだよっっ!?!?!?」
驚いてつい反射的に肩に乗った光汰の頭をぺしっと叩くと、それまでずっと無言だった光汰が口を開いた。
「………春ちゃん」
「な、なに」
怒らせたか、と身を固くして次の光汰の反応を待っていると、予想に反してひどく……寂しそうで、苦しげな声が聞こえた。
「春ちゃん……何か俺に、言いたいこととか…ない?」
「え………」
恐る恐る光汰の方を見るが、光汰の顔はちょうど髪で隠されていて表情までは分からない。
「えっと……光t「ごめんっ」………え?」
「やっぱりなんでもないから…気にしないで」
……遮られてしまった。
光汰は俺の首に回していた手をぱっと離すと、床にある俺の服を拾って背中を押した。
「ほら、今日はもう遅いし帰った方がいいよ。はい、手上げて~」
「え、光汰…わぷっ!」
勢いに押されて思わず手をあげるとTシャツを強引に被せられて、俺がやっと頭を出した頃には光汰はすでに俺の荷物をまとめて玄関へ歩き出していた。
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