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□自転車屋さんの看板少年
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「……やっぱり穴空いてるな、コレ」
通勤時にチャリがパンクした。
大きめの石を轢いてしまったようで、走行中にピシッという音が聞こえた途端に、ガタガタガタッとサドルから感じる振動が大きくなる。
……最悪。
会社まであと少しという所での故障に、ゲンナリしながら自転車を引いて残りの道程を歩いた。
昼休憩時、自分でどうにか出来ないものかと駐輪場を訪れて、備品の空気入れでタイヤに空気を入れてみたものの、すぐにタイヤはペッタンコになる。
帰りどうすんだよ、コレ。
10キロも歩いて帰れるワケねーし。
自転車の横に座り込んで項垂れていると、たまたま通りかかった別の部署の人が会社の近くに自転車屋がある事を教えてくれた。
やー、マジ助かった。
ありがとう!医薬の人!!
教えてもらった自転車屋へと足を運ぶべく、いつもとは違う出口へと向かう。
自転車屋は会社正門から徒歩五分位の一番町商店街の一角にあるらしい。
たどり着いた自転車屋は、色褪せたビニール製の日差しが年代を感じさせる古い店だった。
……この店、大丈夫だよな?
恐る恐る全面ガラスの引き戸を開けると、チリンと鈴が鳴る。
中を覗くと、何台もの自転車やバイクが並べてあり、壁際には無造作に工具が置かれている。
そして、事務机の横に置かれたパイプ椅子に、ゲームをカチカチと操る高校生くらいの少年が座っていた。
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