アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
4
-
なんとか22時にバイトを終え、今日はその後予定があったため早急にバイト先を出た。
わざわざ賄いを作ってくれたにも関わらず、マスターは嫌な顔一つせずに微笑み、楽しんできて下さいね、と言ってくれた。
その上、余ったささみ肉をルナにとタッパーに入れて持たせてくれる。
どこまでも人がいいマスターに頭が上がらない。
来月は休日を返上して、働くつもりだ。
「安藤。」
いつかの公園に着くと、22時過ぎに以前の公園で待ち合わせしようと伝えていた通りに安藤は既に入口で立ち尽くして待っていた。
学校で過ごしているようにメガネはそのままに、前髪だけが普段と違って横に流されていた。
やっぱり、綺麗な顔をしていると思う。
安藤は俺に気が付くと、小さく頭を下げてバイトお疲れ様、と缶コーヒーを手渡してくれた。
「ん、ありがと。てか、こんな時間に悪い。家大丈夫だった?」
「大丈夫。ちょっとお父さんがうるさかったけど、いつものことだから。」
「そう、ならいいけど。」
同学年なんだから敬語はやめろと言ったせいか、少しずつ敬語が抜けてだいぶ砕けた会話が出来るようになった。
声は相変わらず消え入るような小ささだが、聞き取れないほどではない。
確かに、安藤は人と接するのが苦手なのかもしれない。しかし、決して下手ではないと思う。
今では難なく会話出来ているのだから。
その為、余計に学校での態度が不思議でならない。なぜあそこまで頑なに他人と距離を置くのか。
なにか事情があるのだろうと薄々察してはいるが、一体何が安藤をそうさせたのか。
きっと今は訊いても答えてはくれないだろう。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 27