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おまけ2。まーさんと、クッキー
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おまけ2。まーさんと、クッキー
ーーーある日の昼下がり
「叶くん。みてみて」
「はい?」
彼が持っていたのは小さな籠。
その中には紙が敷かれていて、その上にクッキーがたくさん入っていた
それらはおしゃれな形をしたものばかりで、すごく美味しそう。
「はい、俺特製"まーさんクッキー"だよ。」
食べて食べてとばかりに笑うまーさん。
……かわいい。
「わーーい、いただきまーす」
基本甘いものは好きなので、僕は喜んでクッキーを口に運んだ。
「っ!?!?」
「どう?どう?」
「……あ……えっと……。
お、美味しいです……。」
「本当!?よかったーー」
ニコニコ笑う彼に、あははと無理矢理笑顔を返す僕。
……ど、どうしよう。
このクッキー……
"ものすごくマズイ!!"
でも彼の前でマズイなんて言えない…。
これは美味しいで通すしか……。
「どんどん食べていいから。ここに置いておくね」
「は、はい……!」
すると、店のドアベルが鳴る。
「おはよーさん。」
「あ、鹿野さん!」
「いらっしゃい、鹿野くん。」
「お?これクッキーか?
ーーーーーって…うぇっ、不味っ!!」
さっそく、まーさんクッキーを食べた鹿野さんが、顔を真っ青にしてまーさんを見る。
「聖人さん、このクッキーあんたが作ったんですか?」
「そうだけど?」
「もう、作らないほうがいいですよ…。」
「え?」
「このクッキー…、ものすごく不味い。」
「………………。」
その瞬間、この場が凍りついたのを忘れない
「……不味い…ね……。」
1オクターブ低くなったまーさんが、黒い笑顔で微笑む。
「鹿野くん、ちょっとおいで?」
「え、」
「早く来い。」
鹿野さんは硬い表情をしたまま、まーさんと共に別室へ引きこもった。
(……鹿野さん、なむあみだぶつ。)
あの後、鹿野さんに何があったのか分からないが、クッキーを見るたびに怯える表情をするようになりました。
(すっごい殴られてる音聞こえたけど、きっと気のせいだよね……!)
そしてまーさんの前では"クッキー"という言葉が禁句になったのでした。
おわり。
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