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第5夜 小さな勇気。
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*
目の前に立ちはだかるアンティーク調の扉。
深く息を吸い、心を整えるように息を吐く。
「……よし。」
ドアノブを取って、扉を前に押した。
カランカランッ
ドアベルが鳴り、店の中に入るとそこには僕の大好きな人がいた。
少し癖のかかった黒髪と、透き通るような肌。
右目の下にある小さな黒子とシャツの上からでもわかる逞しい身体が彼の色気を醸し出している。
僕の存在に気づくと、まーさんは優しく微笑んだ。
「おはよう。叶くん。」
「おはよう…ございます。」
その蕩けるような笑顔に、胸が高鳴った。
ジワジワと顔が熱くなってきたので、僕は急いで更衣室に向かう。
(うわぁ……うわぁぁ……。)
顔がすごく熱い。
僕にとっては、久しぶりの高揚感。
今まで暗いことばかり考えていたから、
トキメキより痛さがあったけど…今はない。
(これも…みぃちゃんのおかげかな……。)
軽くなった気持ちを確かめるように、胸元のシャツをクシャリと握る。
もう、決めたんだ。
僕はこの気持ちから、逃げ出さないって。
鏡の前で身なりを整え、両手で頰を叩く。
「よし……。…頑張るぞ。」
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